Rejoicing / Pat Metheny : ECMのプロデューサー、マンフレット・アイヒャー氏はエコーのつまみを自分で操作して、決してエンジニアには触らせないそうです(笑)。リスナーからは「エコーたっぷり」と言われるけど、このシステムで聴くとエコーが薄く感じられます。細川さんは「楽器の響きがしっかり再生できると、エコーと自然に混じっていくのでは?」と。自前の Victor X1Ⅱ(GlanzのOEM、1981年27,000円)から「金印」にすると、アコースティック・ギターの響きが澄んでハジけました。
Crescent / John Coltrane:薄暗いジャズ喫茶で、「朝日ジャーナル」をめくりながら身体をゆする、そんなイメージの後期コルトレーン。でも「金印」だと音のヌケが抜群に良くて、でもハッタリを利かせるわけでもない。サックスは芯のある厚みのある鳴りで、すぐそこに居る感じ。べつに何かしらの主張がこめられているわけじゃなくて、ただ楽しんでもらうために作られた音楽じゃないか、そんな気がしてきます。適度にくすんだり、濁ったりしていた方が、意味ありげな、思わせぶりな音になるんでしょうか。
この機種そのものには興味がない(カネがない)けど、辛口の文章を読むとどんな音か聴いてみたくもなります。10万円台から買えるSACDプレーヤーを120万円で出すからには、それなりの設えや調えが「あるに違いない」と思うわけです。「低域から、中高域にかけて、エネルギー密度が低い」と太字のところですが、逆に「低域から、中高域にかけて、エネルギー密度が高い」としたら、ですね。それはローコスト製品にありがちな演出じゃないかな、と。もしかしたら「大雑把」じゃなくて、包み込んでくれるような「包容力」じゃないかな、と。どうなんでしょう。
思うに、これから先もCD機やSACD機が生き残っていくには、「音」だけでは心もとないいです。メーカーもそこは分かっていて、USB-DACとしても使える機種が出ていたりします。私は人の感覚に近いアナログ製品として、生き残って欲しいと思います。たとえば時計のような、アナログメーターがついている。演奏開始と停止の曲をスイッチで指定すると、メーターが演奏時間を表示する。スタートすると、分針も動いて残り時間がすぐに分かる、そんな機能が欲しいです。
ついでに言えば、ディスクの開閉はモーターでするのではなくて、手動が良いと思います。ロックを外して、トレイを引き出す。ディスクを載せて、トレイを押して、ロックする。レコードに針を乗せるような操作感が欲しい。やっぱり「自動ドア」は、味気ないです。手動にすれば、故障もうんと少なくなると思う。トップローディングでも、良いですね。
この時代にアナログディスクやカセットテープに人気が出るのはどうしてなのか、そこから学ぶべきものはあるんじゃないでしょうか。
5度はそれこそ付帯音で、リッチにも濁りにもなり得る、厄介な代物じゃないでしょうか。ジャズギターの教科書のバッキングのところには、「要らないから弾くな」と書いてありました。学校の音楽で習った和音は「ドミソ」とか5度が構成要素でしたが、じつはルート(CとかFとか)、メジャーとマイナーを決める3度、♭7thなどのテンションだけでコード進行を表現できます。そして5度を抜くと、響きが締まってクール!なんです。ジャズでは必ずテンションが入るので、5度がジャマになるのだと思っていました。中世の西洋音楽では、使われる和音はルートと5度、4度だけで、3度は不協和音だったそうです。ロックの兄ちゃんが弾くパワーコードも、ルートと5度ですね。いずれ人間は5度が好きなんだと思います。
私が高校生の頃から、郷里の上越市(新潟県)には、「びんのかけら」という喫茶店があります。コーヒーは自家焙煎だし、ピザやケーキ、サンドイッチなども美味しい。そこに置かれていたスピーカーがJBLの4301、8インチの2ウェイ機でした。ラックスマンの真空管アンプで、さりげなくジャズを流していました。自分も……と思い、2台目のスピーカーは4301にしたんですね。1台目はコーラルのフルレンジ、自作でした。当時はフェライトの4301Bに切り替わっていたけど、中古でアルニコの4301を探しました。音の良しあしは分からなかったけど、本物志向のマスターのことだから、オーディオも本物を選んでいるに違いないと考えたわけです。
何年か前に訪れたときには、その4301はウーファーのウレタンエッジが抜け落ちて、フガフガ言っていました。40年の間には、何度かは張替えをしているとは思うのですが……。「コレ、張り替えないの?」「ああ、良いんだ。全く問題ないよ、脳の補正回路が働くから。オレもあと何年生きるかわからないし」と涼しい顔で言っていました。このマスター、70歳でもテントを担いで北アルプス縦走とかするので、まだまだ寿命はあると思うのですが。補正回路、おそるべしです。
ごく、個人的な考えです。
アナログLPはどんなに頑張っても、オーディオ的な性能ではCDに適いません。S/N比、ダイナミックレンジ、チャンネルセパレーション、周波数特性(アナログ録音のマイクは20kHzまで伸びてたのかな?)、歪率と、逆立ちしたって(リニアトラッキングだったら逆立ちできる?)無理な話です。
ところがひとはオーディオ的に優秀なCDよりも、いまいちのLPの方を「好き」だったりするから、話が面白くなるのですね。適度に歪んで付帯音があった方が、「良い」と感じるらしい。ヤマハGT-2000の設計者は、オーディオ部門にたどり着く前に楽器の設計を任されていたそうで、海外製の「音が良い」マリンバを測定してみると付帯音がたっぷりだったとか(「ステレオ時代」に載っていました)。
と言うことで。
オーディオ製品を評価するのに、「絶対的な高性能」を念頭に置いてしまうと、話が難しくなると思うのです。減点法というのは分かりやすいようですが、「絶対的な高性能」も減点の仕方も人それぞれです。むしろ加点法というか、今回のように「コレのこういうところが好き」と見つけていった方が、楽しいですね。カートリッジの違いで「拍手をしたくなる」ような装置と耳をお持ちなのも、素晴らしいですね。
いまはネット配信やら何やらソースが多様化していますが、われら昭和のオッサンが聴くのはCDかLPなんです。もうCDをいっぱい持っているし、SACD機のスタートはとろいし、ハイスペックのために音を悪くしているような気もするし、やっぱりCD専用機が良いなあと思うのです。
ベースマンでDP-900+DC-901との比較をしたら、パッとしないのはしょうがないですね。相手はお値段10倍の、二段重ねですから。でもわが家のアンプとスピーカーで較べたら、そんなに違いが出ないんじゃないかな。そこそこのお値段で、10年は使えるCD専用機が欲しいと思っている人にはうってつけではないでしょうか。アキュフェーズなら、メンテナンスはばっちりでしょうから。
My Foolishi Heart のけだるい曲の録音が好きです。We get request からこちらに曲が変わると空間が広がります。ブラシワークや咳払いや最後の拍手などオーディオチェックにもうってつけです。
お聴きになったんですね! 私は辛抱たまらなくなって、新緑がまぶしい山を歩いておりました。
このスピーカーの音はブックシェルフのアッコルドの延長線上で、低音域がさらに充実した感じなのでしょうか? 私の印象ではアッコルドもリネアも、中音域が濃密で鳴りっぷりが良くて、「無彩色」からはほど遠い感じがしました。パスタで言えば、カルボナーラです。この機種は違う音色なのか、それとも受け取り方が違うのか、面白いものだと思いました。これはデザインが穏やかで、わが家のようなふつうの部屋にもマッチしますね。懐具合にはマッチしてくれませんが……。
さて、そのトルクとは。①針の摩擦に対してのトルク ②微妙な揺れ(ミクロの遅れを取り返す力) どっちなのでしょうか。完全無欠の等速回転だったら、感じる余地がないような気もします。微妙な歪を「良い音」に感じるのも、人間の特性としてあるのではないかと思います。
「うちより、音がいい」のは、果たしてSMEのトーンアームによるものなのか。それともEMTのターンテーブルによるのか、はたまた……と、考え出せばキリがない。どこをどういじっても音が変わるのが、アナログ・プレーヤーの楽しみでもあり、難しさですね。
私の「ひいじいさん」は、蕎麦が大好物だったらしいです。私の実家は新潟県上越市というところですが、長野の戸隠まで蕎麦を食べに行ったそうです。「あそこの店は蕎麦は最高だけど、汁がどうも……」なんて、自分で研究した汁を蕎麦屋に持ち込んだそうです。お店にしてみたらまことに失礼な客なんですが、昔はのんびりしていたんですね。でも「あの蕎麦にはこういう汁の方が合うはずだ」と思っていたのが、実際に食べてみるとそれほどでもない。ダメだと思っていた店の汁につけて食べると、するすると胃袋におさまっていったんだとか。もしかしたら蕎麦屋の店主は、余裕で見守って、したり顔をしたのではないでしょうか。
こんな話を思い出しました。できうることなら、EMTのトーンアーム、EMTのカートリッジで930STの音を聴いてみたいものです。昔のSMEのトーンアームは、やっぱりトーレンスとかLINNじゃないでしょうかね。いずれにしても、すごく贅沢なお話です。
930STを聴かせていただけるかなと思っていたのですが、あいにくフォノケーブルがこのGT5000改(←勝手に名前つけてる)についていました。SMEのフォノケーブルはDINの5ピンプラグと違って、簡単に抜き差しできないのですね。おかげでGT5000改の音を堪能できました。自前のMMカートリッジも悪くはなかったけど、「金印」はさすがでした。
Rejoicing / Pat Metheny : ECMのプロデューサー、マンフレット・アイヒャー氏はエコーのつまみを自分で操作して、決してエンジニアには触らせないそうです(笑)。リスナーからは「エコーたっぷり」と言われるけど、このシステムで聴くとエコーが薄く感じられます。細川さんは「楽器の響きがしっかり再生できると、エコーと自然に混じっていくのでは?」と。自前の Victor X1Ⅱ(GlanzのOEM、1981年27,000円)から「金印」にすると、アコースティック・ギターの響きが澄んでハジけました。
Crescent / John Coltrane:薄暗いジャズ喫茶で、「朝日ジャーナル」をめくりながら身体をゆする、そんなイメージの後期コルトレーン。でも「金印」だと音のヌケが抜群に良くて、でもハッタリを利かせるわけでもない。サックスは芯のある厚みのある鳴りで、すぐそこに居る感じ。べつに何かしらの主張がこめられているわけじゃなくて、ただ楽しんでもらうために作られた音楽じゃないか、そんな気がしてきます。適度にくすんだり、濁ったりしていた方が、意味ありげな、思わせぶりな音になるんでしょうか。
こんな風にぼんやりと瞑想できるのは、幸せな時間です。
はじめてコメントさせて頂きます。
80年頃この装置を購入検討しましたが、コンシューマー機みたいで日頃のメンテが必要な事もあり
また実際に視聴することができず諦めた思い出があり興味しんしんです。
この装置はアーム部がオーナー様のこだわりで変更されているようですね。
イコライザーは通さない方が多いようですがどうでしょうか?