オーディオ・ベースマン見たり聴いたり 2025 東京インターナショナルオーディオショウ その⑥ フェーズメーション・ブース・・無帰還アンプがTADを自然にドライブ。

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり 2025 東京インターナショナルオーディオショウ その⑥ フェーズメーション・ブース・・無帰還アンプがTADを自然にドライブ。

「TADのスピーカー(SP)、ウーハーが動かない」。オルトフォンジャパン㈱のブースのTADのSP。躍動しない。「アキュフェーズ・A-300を繋いでいるのにどうしたんだろう?」。2019年のオーディオショウ、アキュフェーズ・ブースで機種違いとは言えTADを鳴らしていた。その時は「小気味よいリズムで軽快に鳴っていた。良かったのに…。記憶違いかなぁ」。釈然とせずにブースを後にした。扉を開け右に曲がる。ふと目にしたのが協同エンジニアリング(フェーズメーション)の看板。「ああ、フェーズメーション。PP-MONOを愛用している。いい針だ。ちょっと、寄ってみよう」と何気なく入室。タイミングよく斎藤さんという方が同社の製品作り解説を始める所だった。TAD(注1)のSPは奇しくもオルトフォン・ブースと同じ機種(おそらく)。「いいなぁ!。TAD。スッキリ軽快な音だ!。自然だ。無駄な力が入っていない。音がちゃんと飛んでくる」。以下の文章は、斎藤さんの解説の要旨ですが、TADの音に聴き惚れてしまった事もあり、正確性に欠けます。間違っている部分があると思って読んでください。

パッシブ・プリアンプ、一度、じっくり聴いてみたい。

同社は二つの事を念頭にアンプ、製品を開発している。① ハイスピード。音の立ち上がりが速い事。② 正確に小さな音も大きな音も変換する事。この二点を重視して作るのは「音の鮮度を確保する、保つ」ことと「スタジオ出力をそのまま届けたい」ため。同社のアンプは、トランスと真空管のみで作られており、半導体は一切使っていない。そして、アンプ構成は、無帰還アンプ回路のみ。アンプ回路にはMFD(注2)は採用しない。その理由として、音の勢いを削ぐ、弾まない、楽しくならない、総じて音楽が楽しくないためとしている。アンプを構成する部品も十分に吟味し「装置が研ぎ澄まされた」アンプの再生音は、「勢い、空間、スケール(ここでは音階の意味か?)」があり音楽を再生した際には「音の鮮度が保たれた空間表現が現れ、劇場(にいる臨場感)、ステージが見られる」とする。斎藤さんも仰ってられました。「昔の方が抱く、暖かい、柔らかいという真空管アンプの印象、今の真空管にはありません」と。

B&W・アキュフェーズの音が、「ハッキリ、クッキリ、スッキリ」した電気の力をパワーを存分に発揮した力感のある音。TAD・フェーズメーションは、「ハッキリ、クッキリ、スッキリ」しているが、力に頼らない自然の再生音。上手く書けないが、斎藤さんは「電源はしっかりしている必要がある。が、パワーではない」という意味合いの事を解説で語ってくれました。

僕だったら、TAD・フェーズメーションの音が好みだ。

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斎藤さん、粋な方。「ファリャのバレエ音楽「三角帽子」の初期盤を聴かせてくれた。日本のキング・レコードの最初期盤、いわゆる「外溝盤」。「当時、イギリス(英)のDECCA(デッカ)レコードは、日本の技術を信頼してなかった。それでスタンパーを輸入して作られたのがこの盤です。札幌のレコード店で800円でした。スタンパーが同じなので音質はイギリス盤と変わりません。本家のレコードは(稠子で)十数万円します」とキング初期盤を再生。と、ここから、再び、男性が踊るキング盤と同じジャケットのレコードを掲げ「実は、英DECCAの初期盤もあります」。「聴き比べましょう」。三分ほど再生。苦笑いして「キング盤とイギリス初期盤は、音が変わらないと思っていたのですが、違いますね。レコードコレクターが血眼になるのも分かります」。キング盤に比べ、イギリス盤は、`音がクッキリとして太い。聴きやすい´。俗に言う`音圧が高い´とはこのことだろう。キング盤は、音が「細く」聴こえる。ただ、演奏に対する感銘度は同じ。そして、これは重要な事だが、エソテリックの高額レコード・プレイヤーと同社のPP-5000のカートリッジの組み合わせでも結構なプチ・パチノイズは出た。これまでの経験上、高額なプレイヤーとカートリッジの組み合わせはノイズが少ない傾向にある。が、高音質の初期盤は、6、70年ほど前の骨董品。再生音にノイズなどが混じるのは当然と考えて、レコード収集、鑑賞に当たりたい。

(注1)TAD (テクニカル・オーディオ・デバイセズ) Compact Reference One CR1TXだと思う。

(注2)僕、電子工学とか物理学は全然、理解できないので技術的な事は間違いがあると思って読んでください。で、チャットGPTの力を借りました。以下、引用します。MFB(モーショナル・フィードバック)とはMFBは、スピーカーの振動板(コーン)の実際の動きを検出してフィードバック制御することで、音の再生精度を高める技術。通常のアンプ(増幅器)は、出力信号の一部を入力側に**フィードバック(帰還)**して、① 歪み(ひずみ)を減らす、② 周波数特性を整える、③ 安定動作させるといった制御を行います。これを「負帰還(ネガティブフィードバック)」と呼びます。一方で、無帰還アンプはこの帰還ループをまったく使わず、「アンプ回路そのものの素の特性」で増幅を行う設計。一言でまとめると無帰還アンプは「音の美味しさ」を優先する設計。帰還アンプは「測定上の正確さ」を重視する設計。