コメント一覧コメント一覧(32ページ目)あおのり2020/04/04数年前にリビングの壁紙(天井と壁)を張り替えたときに、湿度調整機能のあるものを、選びました。多孔質ということは、音を跳ね返さずに吸うのではないか、と。もちろん妻にはナ、イ、ショ、です。コメントした元記事あおのり2020/04/03たしかに、「部屋」は大きな要因ですね。 再生紙?で作られた、卵ケースを壁に貼っている人もいるようですが……。ウィスキーですか。私のような下戸には縁遠いですね、倒れちゃいます。いまの家は中古住宅を買ったのですが、選ぶときに拍手をしてみました。それがイイ感じで聴こえました。たまたま隣の家も売りに出ていて、そっちも拍手してみたのだけれど、これはどうにもダメでした。ちょっとした車1台分くらい高かったのですが、今の家にしました。そんなことは、もちろん妻にはヒ、ミ、ツ、です。なぜ音が良い(自分ではそう思っています)のか? なんですが。 断熱材がFP(ウレタン充填)で、グラスウールのように外壁と石膏ボードの間の空間がないので、石膏ボードが太鼓の皮のように鳴りません。またリビングから階段が吹き抜けのように伸びていて、うまい具合に音が上に抜けていってくれるようです。これから家を新築するとなると、色々な面で余裕がないと、なかなか「音」までは手が回らないし、またできてみないと分からないということがあります。でも中古だったら「試聴」をして選べるので、そこはメリットだと思います。コメントした元記事あおのり2020/03/20コロナのおかげ?で、祝日でしたがじっくり試聴させていただきました。ECMのアート・ランディとラルフ・タウナー、キース・ジャレットのスタンダーズ(ジャズ)、ロキシー・ミュージックの「アヴァロン」(ロック)とレコード、それと前に長らくお世話になったオーディオ・テクニカのカートリッジも持って行きました。ヤマハ GT-5000は「START」でのったりのったり回り始めて、演奏中に指でトントンしても響かない。その物量の凄まじさに、まず圧倒されます。無重力空間で回っているかのようなスムーズ感、そして微細な音や空間情報を拾うトレース力、音のスピード感、透明感。「良いなあ」という言葉しか出て来ません。かたやアコースティック・ソリッドですが、物量投入のセパレート型にしては小さくまとまっており、ダイナミック・バランス型のアームも魅力的(細川さんはスタティックとして使っていましたが)です。ただヤマハと比べると、潤う感じで響きがつくのが、好みの分かれるところではないでしょうか。クラシックには、良いかもしれないと感じました。ヤマハがひたすら「無響」を目指したのなら、アコースティック・ソリッドの方は「無響があり得ないなら、良い響きにする」ことを目指したような気がします。細川さんがプラッターを爪ではじいて見せてくれましたが、アコースティック・ソリッドはお仏壇の鈴のような澄みきった音がしていました。私は若い頃はジャズが好きで、チャンジイこいてからクラシックも聴くようになりました。レコードはジャズとロックしかないので、どちらかを家に置くとしたらヤマハでしょうね。うちの猫(黒♂)、エリックは動くものに飛びつくので、耐ニャン性から言ってもヤマハです。ダストカバーをしておけば、演奏中に突進されてもへっちゃらかもしれません。コメントした元記事あおのり2020/03/17あれ、これ、あれも……と数えると、これまで使ったアナログプレーヤーは10台くらいかな、と思います。 一度として試聴したことはなく、すべて「見た目」で選びました。駆動方式、アーム、キャビネットの造りですね。音に関してどうの、なんてことは考えたことがないです。「見た目で選んだくせに、いまさら音がどうのなんて言われても困るのよね」とどこかの奥様のようなことを言い出しかねない。文句を言われるくらいだったら(←擬人化してる!)しっかりと手入れをして、カートリッジを、昇圧トランスを、テーブルシートを、スタビライザーを、ケーブルを、シェルを、リードを……とあれこれ買い与えてご機嫌をとった方が楽しい、ということになるのです。そう言えばいちばん長く使ったのは、桜の無垢板にジグソーで焦がしながら穴を開けた筐体に、DENONのモーターとFRのアームを載せた自作品でした。長岡鉄男教祖の「プレーヤーは重くて小さい方が音が良い」の教えを実践すべく、こだわって手をかけたのだから愛着がわくに決まっています。高校生の頃に使っていたのは、家のYAMAHAのYP-400でした。木製のキャビネットにベルトドライブ、J字型のアーム、オートリターンがついていました。レコード盤に針を降ろすたびに、わくわくしていました。今でも似たようなデザインのAR(アコースティック・リサーチ)のターンテーブルをオークションで見かけると、ついフラチなことを考えてしまいます。なんか、オンナに似ているかも。自分の手で「音」を作っていくのがアナログプレーヤーの楽しみであるとすれば、「音」ではなくて「愛」で選ぶのが正解なのでは?と思ったりするのです。コメントした元記事あおのり2020/03/03お店で見たとき、レーザーディスクがターンテーブルに乗っていました。工作機械のようなその体格、造り込みの精密感、そしてトーンアームは何だかロケットの部品のような……。「細川さん、このヤマハ、レーザーディスクかかるんですか?」つい、そう言ってしまったんです。なんだか次元が違う機械と言う感じで、何でも再生できそうじゃないですか。「ああ、いや、それは……ただのホコリよけです」このヒトはマジで言ってるのか? それとも冗談か、マジなのか? 細川さんは2階で、そんな困惑がまじった苦笑をしていたと思います。ここで白状すると、マジでした。冷静に考えたらあり得ないことですが、ついそんなことを思わせるいでたちでした。ストレート・アームは、亡くなった江川三郎さんが当時の常識に逆らって研究し、オーディオ雑誌で発表していました。パイプをS字に曲げるのは職人技だと聞くし、「ストレートの音が良い」と世間で認識されたら、一気にストレートが普及しそうな気がします。製品化されるまで、どうしてこんなに時間がかかったのか不思議です。音はまだ聴いていないので、楽しみです。コメントした元記事あおのり2020/03/01この前、TRZ-300Wを2階でじっくり聴かせていただきました。とても素直で伸びやかで、良い音だなと思いました。乏しい経験しかありませんが、私が聴いた真空管アンプの中では、一番良いと感じました。真空管アンプにありがちな、頭を押さえつけられるようなトランス臭さがない。ウォーム・トーンはかくし味で、いかにも真空管ですみたいな演出もない。音を見せるのではなく、音楽に包みこんでくれる感じです。またそれこそが、真空管アンプの美点ではないでしょうか。たとえばですが同じ排気量のバイクでも、単気筒のアメリカンもあれば、4気筒のスポーツもあります。アメリカンで景色をながめながら走るのも、スポーツで眼を三角にしてコーナーを攻めるのも、それぞれバイクの愉しみでしょう。でも、両方やろうと思う人は、少ないんじゃないかな。ふだんからスポーツバイクを乗りまわして油まみれになって整備している人は、ハーレーから新しいモデルが出ても関心がないでしょう。いきなり試乗したら、あんまり感想もわいて来ないのではないでしょうか。ちょっと、そんなことも連想しました。しばらくトランジスタをやめて真空管ライフを続ければ、音の特徴について流れるように言葉が出る……かもしれません。いや、トランジスタの禁断症状が出るかも。コメントした元記事あおのり2020/02/01一昨年に、折りたたみ自転車を買いました。こっぱずかしくも妻とおそろいのチャリ(色違い)をクルマに積んで、田沢湖を一周するのは最高です。「お尻痛い」「クルマ怖い」「おなか減った」が交代で、2分おきに後ろから聞こえて来ますが……お前は小学生かと思いつつ、「二度とゴメンだ」と言われないようにのんびり走るのです。自転車屋さんで物色したとき、泥除けやスタンドなど、ママチャリのような便利機能が初めからついていて、値段もそこそこで、そして重い……という機種がありました。安いハイテン鋼のパイプに安いパーツをくっつけるから、重くなるのに決まっています。「でも一番売れるのは、こういうのなんですよね……ま、妥協の集大成です」妥協の集大成! 妥協というしょーもない要素と、集大成という素晴らしい要素が合体しているんですよ。奥の深い、実にイイ言葉だと思いました。自転車をどれにするかよりも、まずこの店員さんから買うことにしたくらいです。ソネット3のようなトールボーイに向かうと、どうしてもアタマに「妥協の集大成」が浮かんできて、思い出し笑いが収まるのを待つのです。置き場所を取らず、低音もしっかり出て、ブックシェルフ+スタンドよりちょっぴり高いだけーつまりはお買い得ということですね。素晴らしい。でも長細い筐体と複数ユニットの干渉というマイナス要素を、生まれながらに持っているのです。それを技術で克服できるのか、「売る」ための妥協ではないか?雲の上のB&W800シリーズのことは分からないけど、一般論としては低音の「質」を取るならブックシェルフ、「量」を取るならトールボーイでしょう。私は猫にヤラれないようにブックシェルフを選んできましたが、いまとなっては大正解、ニャンコさまさまです。でもベルリオーズとかマーラーとか、バカバカしいほど音響効果を狙った作品を「妥協の集大成」で聴くのもイイのかなあと思ったりします。「死ぬまでに、いっぺんでいいから蕎麦をどっぷり汁につけて食いたかった」、みたいな話かなあ。コメントした元記事あおのり2020/01/30 いつもながら精緻な言葉づかいで「音」を表していらっしゃって、感服いたします。そしてお二人のやり取りは、なかなかに興味深いです。「音」を言葉でどのように表すのか。オーディオライターさんたちは、それでシノギを削っているとも言えるのですが……。細川さんは手持ちの言葉で、足りているようです。その一方で、主さまは「和名」も探っていらっしゃる。そもそも「300Bの音」という枠の中で、どんなキャラクターなのかを探っていこうとすると難しくて、迷路に入り込んでいきそうです。細川さんは「音」の表現が先で、パーツはその根拠になっています。 そして、もしかしたら……ですが。細川さんは「この音」だけを、聴いているのではないかもしれないです。「あんな部屋」で「あんなスピーカー」につないで、「こんな風に」聴いたら……の音も聴いているかもしれない、と思うのです。インストールして鳴らすこともあるでしょうし、色々なケースがあるでしょうから、「この音」だけで判断するわけにもいかないでしょうしね。無意識的に、複層的に聴いている、ということがあるかもしれない。 ところでトライオードさんはどんなスピーカーにつないで、このアンプを開発されたんでしょうか。スペンドールの代理店をしているから、スペンドールなのかな。だったらハーベスにつないでみたら……なんて思うのは、短絡的でしょうか。 こういう話で「オーディオは難しい」じゃなくて、「オーディオは楽しい」になれば、良いなあと思います。私などは中古を拾って歩くので、ベースマンのハイエナのようなヤツですが、それでも面白く読ませてもらっています。そう言えば家も、クルマも、家具なんかも中古だらけで……「モノを大切にする人」と言うことにしておいてください。コメントした元記事あおのり2020/01/28「この音が欲しかった」。オーディオを趣味にするからには、一度で良いからそう言ってみたいですね。そう言うには判断できるだけの「耳」をもち、満足できるモノを見つけて、手に入れられそうである。この三条件がそろって初めて、心安らかにそう言えるわけですから。私の場合、「耳」からしてどうもこころもとないです。ラジカセに耳をくっつけて聴いたのが「良い音」の原体験で、以後は数十年にわたってヒドイ音(今にして思えば)で聴いた暗黒時代(今にして思えば)が長かったせいで、実に簡単に高得点を与えてしまうのです。まあそれはそれで、めでたいと思うことにしましょう。コメントした元記事あおのり2020/01/23クラシックだとフルトヴェングラー、ジャズだとチャーリー・パーカーなど、いまでも熱狂的なファンがいる演奏家は、一定数は確実に売れるので商売しやすいのでしょうね。著作権も切れてるでしょうし。ただ昔のLP収録にはなかった「デジタル処理」がクセ者で、ノイズと一緒にナマナマしさも削除しているとしか思えないような代物もあるようです。ところでモノラル録音を2本のスピーカーで聴いてもよいのですが、リスニングポイントが少しでも前後にずれると奥行き感がなくなります。スピーカーを1本にすると、音場が前後に長いラグビーボール状になって、奥行き感と浸透力が倍増するように感じます。スピーカーもいまの低能率ハイファイ機だといまいちで、いっときはテレフンケンの高能率ユニットを後面開放型の箱に入れたのを、大昔盤の再生に使っていました。パリッとした辛口の音は、愛すべきものでした。ここまでこだわった時期もあったのですが、スピーカーをいくつも置くと、色々と差しさわりも出てくるわけでして……。テレフンケン君は、いまはどこかで活躍していると思います。コメントした元記事1…3031323334…40
数年前にリビングの壁紙(天井と壁)を張り替えたときに、湿度調整機能のあるものを、選びました。多孔質ということは、音を跳ね返さずに吸うのではないか、と。もちろん妻にはナ、イ、ショ、です。
たしかに、「部屋」は大きな要因ですね。
再生紙?で作られた、卵ケースを壁に貼っている人もいるようですが……。ウィスキーですか。私のような下戸には縁遠いですね、倒れちゃいます。
いまの家は中古住宅を買ったのですが、選ぶときに拍手をしてみました。それがイイ感じで聴こえました。たまたま隣の家も売りに出ていて、そっちも拍手してみたのだけれど、これはどうにもダメでした。ちょっとした車1台分くらい高かったのですが、今の家にしました。そんなことは、もちろん妻にはヒ、ミ、ツ、です。
なぜ音が良い(自分ではそう思っています)のか? なんですが。
断熱材がFP(ウレタン充填)で、グラスウールのように外壁と石膏ボードの間の空間がないので、石膏ボードが太鼓の皮のように鳴りません。またリビングから階段が吹き抜けのように伸びていて、うまい具合に音が上に抜けていってくれるようです。
これから家を新築するとなると、色々な面で余裕がないと、なかなか「音」までは手が回らないし、またできてみないと分からないということがあります。でも中古だったら「試聴」をして選べるので、そこはメリットだと思います。
コロナのおかげ?で、祝日でしたがじっくり試聴させていただきました。ECMのアート・ランディとラルフ・タウナー、キース・ジャレットのスタンダーズ(ジャズ)、ロキシー・ミュージックの「アヴァロン」(ロック)とレコード、それと前に長らくお世話になったオーディオ・テクニカのカートリッジも持って行きました。
ヤマハ GT-5000は「START」でのったりのったり回り始めて、演奏中に指でトントンしても響かない。その物量の凄まじさに、まず圧倒されます。無重力空間で回っているかのようなスムーズ感、そして微細な音や空間情報を拾うトレース力、音のスピード感、透明感。「良いなあ」という言葉しか出て来ません。
かたやアコースティック・ソリッドですが、物量投入のセパレート型にしては小さくまとまっており、ダイナミック・バランス型のアームも魅力的(細川さんはスタティックとして使っていましたが)です。ただヤマハと比べると、潤う感じで響きがつくのが、好みの分かれるところではないでしょうか。クラシックには、良いかもしれないと感じました。
ヤマハがひたすら「無響」を目指したのなら、アコースティック・ソリッドの方は「無響があり得ないなら、良い響きにする」ことを目指したような気がします。細川さんがプラッターを爪ではじいて見せてくれましたが、アコースティック・ソリッドはお仏壇の鈴のような澄みきった音がしていました。
私は若い頃はジャズが好きで、チャンジイこいてからクラシックも聴くようになりました。レコードはジャズとロックしかないので、どちらかを家に置くとしたらヤマハでしょうね。うちの猫(黒♂)、エリックは動くものに飛びつくので、耐ニャン性から言ってもヤマハです。ダストカバーをしておけば、演奏中に突進されてもへっちゃらかもしれません。
あれ、これ、あれも……と数えると、これまで使ったアナログプレーヤーは10台くらいかな、と思います。
一度として試聴したことはなく、すべて「見た目」で選びました。駆動方式、アーム、キャビネットの造りですね。音に関してどうの、なんてことは考えたことがないです。「見た目で選んだくせに、いまさら音がどうのなんて言われても困るのよね」とどこかの奥様のようなことを言い出しかねない。文句を言われるくらいだったら(←擬人化してる!)しっかりと手入れをして、カートリッジを、昇圧トランスを、テーブルシートを、スタビライザーを、ケーブルを、シェルを、リードを……とあれこれ買い与えてご機嫌をとった方が楽しい、ということになるのです。
そう言えばいちばん長く使ったのは、桜の無垢板にジグソーで焦がしながら穴を開けた筐体に、DENONのモーターとFRのアームを載せた自作品でした。長岡鉄男教祖の「プレーヤーは重くて小さい方が音が良い」の教えを実践すべく、こだわって手をかけたのだから愛着がわくに決まっています。
高校生の頃に使っていたのは、家のYAMAHAのYP-400でした。木製のキャビネットにベルトドライブ、J字型のアーム、オートリターンがついていました。レコード盤に針を降ろすたびに、わくわくしていました。今でも似たようなデザインのAR(アコースティック・リサーチ)のターンテーブルをオークションで見かけると、ついフラチなことを考えてしまいます。なんか、オンナに似ているかも。
自分の手で「音」を作っていくのがアナログプレーヤーの楽しみであるとすれば、「音」ではなくて「愛」で選ぶのが正解なのでは?と思ったりするのです。
お店で見たとき、レーザーディスクがターンテーブルに乗っていました。工作機械のようなその体格、造り込みの精密感、そしてトーンアームは何だかロケットの部品のような……。
「細川さん、このヤマハ、レーザーディスクかかるんですか?」
つい、そう言ってしまったんです。なんだか次元が違う機械と言う感じで、何でも再生できそうじゃないですか。
「ああ、いや、それは……ただのホコリよけです」
このヒトはマジで言ってるのか? それとも冗談か、マジなのか? 細川さんは2階で、そんな困惑がまじった苦笑をしていたと思います。ここで白状すると、マジでした。冷静に考えたらあり得ないことですが、ついそんなことを思わせるいでたちでした。
ストレート・アームは、亡くなった江川三郎さんが当時の常識に逆らって研究し、オーディオ雑誌で発表していました。パイプをS字に曲げるのは職人技だと聞くし、「ストレートの音が良い」と世間で認識されたら、一気にストレートが普及しそうな気がします。製品化されるまで、どうしてこんなに時間がかかったのか不思議です。
音はまだ聴いていないので、楽しみです。
この前、TRZ-300Wを2階でじっくり聴かせていただきました。とても素直で伸びやかで、良い音だなと思いました。乏しい経験しかありませんが、私が聴いた真空管アンプの中では、一番良いと感じました。真空管アンプにありがちな、頭を押さえつけられるようなトランス臭さがない。ウォーム・トーンはかくし味で、いかにも真空管ですみたいな演出もない。音を見せるのではなく、音楽に包みこんでくれる感じです。またそれこそが、真空管アンプの美点ではないでしょうか。
たとえばですが同じ排気量のバイクでも、単気筒のアメリカンもあれば、4気筒のスポーツもあります。アメリカンで景色をながめながら走るのも、スポーツで眼を三角にしてコーナーを攻めるのも、それぞれバイクの愉しみでしょう。でも、両方やろうと思う人は、少ないんじゃないかな。ふだんからスポーツバイクを乗りまわして油まみれになって整備している人は、ハーレーから新しいモデルが出ても関心がないでしょう。いきなり試乗したら、あんまり感想もわいて来ないのではないでしょうか。
ちょっと、そんなことも連想しました。しばらくトランジスタをやめて真空管ライフを続ければ、音の特徴について流れるように言葉が出る……かもしれません。いや、トランジスタの禁断症状が出るかも。
一昨年に、折りたたみ自転車を買いました。こっぱずかしくも妻とおそろいのチャリ(色違い)をクルマに積んで、田沢湖を一周するのは最高です。「お尻痛い」「クルマ怖い」「おなか減った」が交代で、2分おきに後ろから聞こえて来ますが……お前は小学生かと思いつつ、「二度とゴメンだ」と言われないようにのんびり走るのです。
自転車屋さんで物色したとき、泥除けやスタンドなど、ママチャリのような便利機能が初めからついていて、値段もそこそこで、そして重い……という機種がありました。安いハイテン鋼のパイプに安いパーツをくっつけるから、重くなるのに決まっています。「でも一番売れるのは、こういうのなんですよね……ま、妥協の集大成です」
妥協の集大成! 妥協というしょーもない要素と、集大成という素晴らしい要素が合体しているんですよ。奥の深い、実にイイ言葉だと思いました。自転車をどれにするかよりも、まずこの店員さんから買うことにしたくらいです。
ソネット3のようなトールボーイに向かうと、どうしてもアタマに「妥協の集大成」が浮かんできて、思い出し笑いが収まるのを待つのです。置き場所を取らず、低音もしっかり出て、ブックシェルフ+スタンドよりちょっぴり高いだけーつまりはお買い得ということですね。素晴らしい。でも長細い筐体と複数ユニットの干渉というマイナス要素を、生まれながらに持っているのです。それを技術で克服できるのか、「売る」ための妥協ではないか?
雲の上のB&W800シリーズのことは分からないけど、一般論としては低音の「質」を取るならブックシェルフ、「量」を取るならトールボーイでしょう。私は猫にヤラれないようにブックシェルフを選んできましたが、いまとなっては大正解、ニャンコさまさまです。でもベルリオーズとかマーラーとか、バカバカしいほど音響効果を狙った作品を「妥協の集大成」で聴くのもイイのかなあと思ったりします。「死ぬまでに、いっぺんでいいから蕎麦をどっぷり汁につけて食いたかった」、みたいな話かなあ。
いつもながら精緻な言葉づかいで「音」を表していらっしゃって、感服いたします。そしてお二人のやり取りは、なかなかに興味深いです。「音」を言葉でどのように表すのか。オーディオライターさんたちは、それでシノギを削っているとも言えるのですが……。細川さんは手持ちの言葉で、足りているようです。その一方で、主さまは「和名」も探っていらっしゃる。そもそも「300Bの音」という枠の中で、どんなキャラクターなのかを探っていこうとすると難しくて、迷路に入り込んでいきそうです。細川さんは「音」の表現が先で、パーツはその根拠になっています。
そして、もしかしたら……ですが。細川さんは「この音」だけを、聴いているのではないかもしれないです。「あんな部屋」で「あんなスピーカー」につないで、「こんな風に」聴いたら……の音も聴いているかもしれない、と思うのです。インストールして鳴らすこともあるでしょうし、色々なケースがあるでしょうから、「この音」だけで判断するわけにもいかないでしょうしね。無意識的に、複層的に聴いている、ということがあるかもしれない。
ところでトライオードさんはどんなスピーカーにつないで、このアンプを開発されたんでしょうか。スペンドールの代理店をしているから、スペンドールなのかな。だったらハーベスにつないでみたら……なんて思うのは、短絡的でしょうか。
こういう話で「オーディオは難しい」じゃなくて、「オーディオは楽しい」になれば、良いなあと思います。私などは中古を拾って歩くので、ベースマンのハイエナのようなヤツですが、それでも面白く読ませてもらっています。そう言えば家も、クルマも、家具なんかも中古だらけで……「モノを大切にする人」と言うことにしておいてください。
「この音が欲しかった」。オーディオを趣味にするからには、一度で良いからそう言ってみたいですね。そう言うには判断できるだけの「耳」をもち、満足できるモノを見つけて、手に入れられそうである。この三条件がそろって初めて、心安らかにそう言えるわけですから。
私の場合、「耳」からしてどうもこころもとないです。ラジカセに耳をくっつけて聴いたのが「良い音」の原体験で、以後は数十年にわたってヒドイ音(今にして思えば)で聴いた暗黒時代(今にして思えば)が長かったせいで、実に簡単に高得点を与えてしまうのです。まあそれはそれで、めでたいと思うことにしましょう。
クラシックだとフルトヴェングラー、ジャズだとチャーリー・パーカーなど、いまでも熱狂的なファンがいる演奏家は、一定数は確実に売れるので商売しやすいのでしょうね。著作権も切れてるでしょうし。ただ昔のLP収録にはなかった「デジタル処理」がクセ者で、ノイズと一緒にナマナマしさも削除しているとしか思えないような代物もあるようです。
ところでモノラル録音を2本のスピーカーで聴いてもよいのですが、リスニングポイントが少しでも前後にずれると奥行き感がなくなります。スピーカーを1本にすると、音場が前後に長いラグビーボール状になって、奥行き感と浸透力が倍増するように感じます。スピーカーもいまの低能率ハイファイ機だといまいちで、いっときはテレフンケンの高能率ユニットを後面開放型の箱に入れたのを、大昔盤の再生に使っていました。パリッとした辛口の音は、愛すべきものでした。
ここまでこだわった時期もあったのですが、スピーカーをいくつも置くと、色々と差しさわりも出てくるわけでして……。テレフンケン君は、いまはどこかで活躍していると思います。