オーディオ・ベースマン見たり聴いたり アキュフェーズ A-48 その③ P-7300と聴き比べ。

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり アキュフェーズ A-48 その③ P-7300と聴き比べ。

アキュフェーズ A級アンプA-48とAB級アンプP-7300の違い。車で例えれば、A-48が、NAエンジン、P-7300が、ターボ過給機付きエンジン…といったところか(注)。

過度に引き締めない音質は、ボーカル再生に最も魅力が。ミニー・リパートンのCD。勿論、聴いたのは、「ラビング・ユー」。

A-48。(P-7300と比べ)帯域が狭い。低域の解像力、ダンピング(引き締め)が弱い。高域の伸びがやや落ちる。中間帯域のエネルギー密度、解像力、SN比が高く、「色、艶、明瞭な発音、膨らまず、痩せない」といった ボーカル表現でもっとも需要な要素が具体化される。帯域全体を高ダンピング(引き締め)せず、音質、音色にこだわり、音の輪郭を誇張しない大人しい形でまとめている。 力を込めて音を出すというより、巨大な重量物が「フッ」と空中に浮遊する感じ。 素直でナチュナル、オーディオ的な再生音を感じさせない。P-7300。(A-48と比べ)音の出方が軽い。音の輪郭がシャープでキレがある。音を拡散・放出するパワー(最高出力)。高域から低域にかけて帯域全体のバランスがいい。パワフルというより落ち着きのあるアッサリ感、淡泊に聴こえる。二つの機種の違い。キャベツを包丁で切る喩えで言うと。A-48は「繊細にサッと包丁が葉に入り、繊細に、スパ、スパ、切れる」、P-7300は「大振りにザク、ザク、切れる爽快感」…といったところか。

A-48。パワーは、P-7300より落ちるがトルクがある。それと、漫画「鬼滅の刃」で注目の「呼吸」(?)が、A-48にある。ジャズ演奏で言えば、ベースの間奏が終わりつつあり、ボーカルが歌い始める「その瞬間」の息の合わせが、ベーシストとボーカリストの間の「気配」、「起こり」、「前触れ」といったものが、A-48で感じ取れる。そのような印象の残った比較試聴でした。

(注)NA(ナチュナル<ノーマル>・アスピレーション)エンジン…アクセルに対してスムーズな吹け上がりとエンジン回転の上昇、パワー・ピークまで自然な気持ち良さがある。ターボ過給機付きエンジン…エンジンからの排気圧を利用してNAエンジンには不可能な馬力を得ることが可能なシステム。一昔前、「ターボラグ」といってアクセルを踏み込んで、ターボが効くまで間があった。つまり、アクセルに対して、敏感に反応は出来ず、ターボが効くまでアクセルの踏み込みに対してエンジン回転上昇の反応が鈍かった。僕、ターボ付きのスズキのジムニーに乗っているが、今は、改善されそのような「遅れ」はない。