オーディオ・ベースマン 見たり聴いたり アキュフェーズ DP-430  意外、芸術基調に宗旨替え?

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高域が荒く、難があったため、隙間にタオルを入れる。効果抜群!。但し、見た目がショボい。

アキュフェーズ DP-430。同社としては、珍しく質感をも追求した魅力的な製品だ。SACD再生可能なDP-720の圧倒的な性能に感激しつつも価格を考えると購入に二の足を踏む。が、試聴するとCD再生専用機の「430でもいいか」と思わせる。

高SN比、高解像度、広帯域、優れた高域特性の揺るぎない写実基調を貫く同社だが、DP-430は、いささか趣を変え、なめらかな、芸術基調のロマンを感じさせる音調に仕上がっている。

「低域は捨てた!?」・・・とまでは言わないがその帯域の表現が弱い。しかし、中低域から高域にかけては、低歪み、ナチュラルでなめらかな音質。そして、明るめの音調。音場はスケール感よく広がり、音像は明瞭。高域は、冴えて繊細、きめ細かい解像度で倍音を上品に再現。中域はダンピングをほどよく利かせ陰影を作り出し、最適に分離、響きにふくらみをもたせている。音に生命力、躍動感が備わり、CDを再生すると「スッ」と音楽に入っていける。物理学的特性を重視するより聴感に頼って音を練り上げ、質感を向上させた印象。

低域の再生にこだわりがなく、SACDに必要性を感じない方、そのような方には、ベストマッチング

試聴したCD「オペラ・夕鶴」(カメラータ CMCD-20202~3)のDISK-1・トラック12からDISK-2のトラック1,2。安らぎから驚愕、狼狽、落胆、儚い希望・・主人公・つうの移り行く心境変化を余すところなく歌い切る伊藤京子さんの歌唱を見事に再現。オーケストラも伊藤さんの熱唱に合わせ力が入る。日本的美学、もののあわれを聴くものに感じさせた。

「ピアノの音が周りに、響きが空間に広がるのがいい!」とはピアノ曲のCDを試聴した店主の感想。「もう少し、背景が静かなら(高SN比なら)良かった」とニコリ。

「DP-410は、爆発的な売れ方はしませんでしたが、長く(コンスタントに)売れました。430もおそらくそうなるでしょう」とは営業の小串さん。

_430は何を(どの製品)目指して造られたのかとの問いに対して_

「目指すというより、430が、今、一番、(すべてのアキュフェーズ製品の中で)最高の製品。あらゆるもの(過去の製品)から影響を受けてます。これから(これから生み出される製品に対して)影響を与える製品です。(最新の製品が最高作)グレードによって製品開発の手を抜くことはありません」

ム、ムッ!。DP-560の時とはコメントが変わった。560は、60万の価格の範囲でDP-950を目指したのだが・・・。

新製品が発売されるたびに、製品の質を掘り下げるような「深化」するアキュフェーズだが、DP-430を聴くと「進化」の方向性を模索していると見た。同社のその方向性はいかなるものか「標語」として明らかにして欲しいものがある。

2019年 2月 アキュフェーズがその「方向性」を「標語」としているものが見つかりました。

同社の「新製品資料」・・新製品が発表される度に出される資料ですが。その表紙の扉の裏には企業理念が掲載される。その内容は?というと・・

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・・私達は、音楽芸術を通して人間の魂の向上をはかりたいという理念のもとに、enrich life through technology を旗印に集まった技術集団です。・・音楽から受ける深い感動を求める手段としてオーディオ技術をとらえ、贅沢とも思えるほどの高いグレードを目標に制作活動をいたします。楽器に名器として珍重されるものがあるように、オーディオ機器でも手作りの良さを十分に生かした、一つひとつがオリジナルと呼べるようなものを作りたい。・・AccuphaseはAccurate(正確な・的確な)とオーディオ技術に重要なPhase(位相)の2語を結んでオーディオの奥をきわめる心を表し、ブランド名といたしました。・・(黒いゴシックは本文にはありません)

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アキュフェーズ製品。購買者、使用者の観点からすると今後の課題は、価格と重量。かな。「ステレオ時代」(NEKO MOOK ㈱ネコ・パブリッシング) のVol.10号にかつて、そのような課題に取り組んだ経緯が掲載されている。1989年、「11(イレブン)シリーズ」という比較的、小型、低価格の製品群があった。C-11(プリアンプ 22万円)、P-11(パワーアンプ 23万円)、DP-11(CDプレイヤー 27万円)、チューナーT-11(12万円)といったもの。文中にカタログのコピーは「重厚と軽快」。ただし、企業理念、上記の如し。手抜きが出来なく、価格も重量もアキュフェーズでした。販売は、良好だったみたいですが、継続的な需要は見込めなかったみたいです。上記価格程度でアキュフェーズ製品を楽しみたいと思うのは僕だけでしょうか?

アキュフェーズ営業、小串さんのシステム、この「11(イレブン)」との事です。