オーディオ・ベースマン見たり聴いたり 「音をつくる」・・ミキサー・吉野金次さん。

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり 「音をつくる」・・ミキサー・吉野金次さん。

「パリのモーツァルト」のCDを検索していたら「おっ」と思った。何故か知らないが「グリーンドア音楽出版」とともにレコーディング・エンジニアの吉野金次さんの名前が出てきた。吉野さんを知ったのは、アイキャッチ画像、立花隆さんの「青春漂流」(1994年第17刷)という本だった。本を読んだのは30数年前。

ミックスダウンのためか?音は曇っている。MIX UP ENGINEER 吉野 金次と印刷がある。

インターネットで「音楽 ミキサー・エンジニア」を検索すると、『ミキサー・エンジニアは楽曲の録音、ミキシング、マスタリングといった音響技術全般を担当する専門家です。彼らは、ミュージシャンの演奏や歌声を最高の音質で録音し、各楽器のバランスを調整して一つの音楽作品としてまとめ上げます』とある。これではいささか概論的過ぎる。エンジニアが、マイクを立てて演奏を録音。その録音された演奏からマスター・テープを作るまでの過程で演奏者の音楽を如何に加工して世に送り出すため、いかに腐心するのか、この本を読めばわかる。吉野さんは、原音を忠実に録音する事より、演奏者の音楽を自分の感性で音源をまとめあげることを主眼とした。いわゆるオーディオマニアが求める音、「ハッキリ、クッキリ、スッキリ」した音を単純に音盤に封じ込めない。あくまで、演奏者の音楽を聴いて、本から引用させていただくと「~精神を集中して、自分の感性のおもむくままに、自分がこうだと思う音を作っていくんです」。そのため、演奏者との確執もかなりあったことを述べている。担当した「音つくり」で高音質録音盤、オーディオファイル(注)を満足させる盤があるのかは分からない。が、名作は多い。そして、演奏を忠実に再現することを要求されることの多いクラッシック音楽も録音している。渋谷劇場・「ジァン・ジァン」を経営していた高嶋進氏が。朝比奈隆指揮によるブルックナー交響曲全集の録音を企画。収録は1976年から1978年にかけておこなわれ、このレコーディングのプロデューサー兼エンジニアは、吉野金次さん。CD化する際に新たにオリジナル・マスターからデジタル・マスタリングも行っている。

ひょっとしたらこのインタビュー記事の白眉かもしれないのは「録音技術の極限をいくビートルズ・サウンドを徹底分析した」が見出しの一章。話が面白い。ビートルズが、その後半、ライブ活動をしなくなったのは、後半の音楽はスタジオで作られた音楽で「生ではぜったいできないサウンド」と喝破している。

たまに読んで、「こういう過程で今聴いている音源が作られたんだなぁ」と思いを巡らすことにしている。

(注)ここでは、「オーディオファイル」という言葉は、高忠実度な音響再生に熱心な人々、つまり高級オーディオ愛好者を指します(ネットで検索、引用しました)