オーディオ・ベースマン見たり聴いたり エージング(劣化)が進んでいいわけない。

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり エージング(劣化)が進んでいいわけない。

アキュフェーズ・PRECISION STEREO PREAMPLIFIER C-3900S。店に入った3900Sを聴きながら「3900Sもエージング(劣化)が進めば、滑らかになって、色、ツヤも出て良い感じになりますよ」と店主。噛みついた訳ではないが「工業製品、劣化していいわけないでしょう」と僕は笑いながら言葉を返してしまった。勘違いしないで下さい。店主も「エージング(劣化)」という言葉に違和感を感じていたが、オーディオ店で接客を旨とする仕事を続けてきたため、広く長く使われ続けてきた「エージング」というオーディオ用語が便宜上(注)出てしまったというのが本音。

240万もする。だから、音が「劣化」して欲しくない。永劫に今の音で…。

オーディオ機器が盛んに売れた1950、60、70年代。機器の性能保証や品質保証に統一された明確な基準があったのだろうか。当時、製品に使われた各部品、それが組みこまれる製造工程の管理。製品の品質にバラツキがあったことは想像に難くない。しかし、現代の厳格に定められた性能保証、品質保証の観点からすると「エージング(劣化)」という表現は間違っている。電流が流れ熱が生じる。確かに使われている全部品のその組成は変化、総じて、筐体(きょうたい)を含めた製品全体に変化はあるだろう。ただし、メーカーが保証している性能、能力は変わらない。一年か二年で保証した数値が変わるのでは製造メーカーの信頼にかかわる。スピーカー(SP)であれ、アンプ、プレイヤーであれ「出てくる音質」は人が聴いた感覚上の音。それが、ひと月、半年程度で音が変わったら購入した人は困るだろう。そんなに変化があるなら二年、三年経つともっと製品は劣化する。音は変化する。購入者は、販売店に文句をいうだろう。「音が毎年かわる」と。すべからく電化製品に「劣化」していい商品はない。僕は、いつも「エージング(劣化)」という事でなく「音質が安定する時」と考えている。ただし、誰もこの「安定する」時は判らない。作ったメーカーの技術者も分からないだろう。作り手は、この「安定した時期」を早く迎えさせそれをどこまで伸ばせるかが`腕に見せどころ´。オーディオ機器は、高額商品なので購入後の維持、調整も含めた体制の確保がメーカーに求められるのは言うまでもない。

「製品の音質の変化」。翻って思う事がある。「音質の変化」は聴き手が感じる。なので、使用する内に『その購入製品の「音」に慣れた』と考える方が無難だと思う。今から、十数年前、ベースマンで初めてしっかり、アキュフェーズ製品を聴いた時「なんて、カクカク、ゴツゴツ硬い音。柔軟性が無い」と思った。音の輪郭が、音の境界がハッキリして聴きづらかった。今にして思えば、当時は、「音楽という音」だけを聴いていて、楽器の音とか声質、演奏家の表現、意図といったものは、まるで気にしなかった。好きな曲が流れていれば良かった。いきなり、SN比とダンピングファクターに優れたアキュフェーズ製品で音楽を聴いため色々な音が「ハッキリ、クッキリ、スッキリ」聴こえ、いままでとは違った印象の音楽が聴こえた。それが嫌だったが、月日を経て色々な表現が聴こえる事に慣れ好ましくなってきたというのが現状。

オーディオ機器の音質が購入後変わることは、製品の変化に由来するというより聴き手の聴き方が変わる、慣れるといった現象が生じる要素が強いと思う。

なお、付け加えて言えば、人の聴感も年々、エージング(劣化)する

(注)検索して出てきたAI回答を引用させてもらえば「便宜上(べんぎじょう)」とは、物事を円滑に進めるために、一時的または暫定的に都合の良い方法や処置をとることを意味します。必ずしも最終的な形や正式な方法ではない場合に用いられ、状況に応じた一時的な対応を示すニュアンスを含んでいます』。