オーディオ・ベースマン見たり聴いたり プリーズ・リクエスト その②・・「理想的なアドリブです」。
- 2025.10.10
- CD レコード

オスカー・ピーターソン・トリオの「プリーズ・リクエスト」。その6曲目でレイ・ブラウンがハミングしている。「これは、理想的なアドリブです。弾きたいフレーズをそのフレーズが始まる前に声に出して歌う。理想的なアドリブ」とベーシストでもある店主。レイ・ブラウンの歌が聴こえた。これまさに、オーディオの悦楽。音量は39㏈。
6曲目の「You Look Good to Me(ユー・ルック・グット・ツゥー・ミー)」。演奏が始まって50秒あたり。ベースを弓で弾いていたレイ・ブラウン、弓を傍らに置いたのか、それともケースにしまったのか、`コツン´とも`トン´とも聴こえる音がする。そして、1分5秒あたりで、ベースを指で弾いていたレイ・ブラウンがベースを弾きながら歌い出す。聴いていると、その歌を後からなぞるようにベースを弾いている。それが、ハッキリ聴こえる。「細川さん。これ、レイ・ブラウンがハミングしているみたいですけど」と店主に問いかけた。「ええ、そうです」。さらに「ハミングした後のベース、ハミングと同じメロディを弾いているように聴こえるのですが?」と畳みかけた。冒頭の店主の弁はその問いかけに答えたもの。「レイ・ブラウンは、これから、弾こうとするフレーズをハミングしているのですね?」。「ええ、そうです」とニコニコ顔の店主。「プリーズ・リクエスト」。前々から、6曲目に演奏者の声なのか、客の声なのか、単なる雑音なのか、判らなかったが、楽器の音とは違う音が混じっている事は気づいていた。店のオーディオ・システム、音響環境が充実したことで、SPから聴こえる再生音が「ハッキリ、クッキリ、スッキリ、柔らかく」聴こえ、音の正体が判ったことは非常に喜ばしい。レイ・ブラウンさん、`いい声´している。心底「オーディオに凝って良かった」と思う瞬間だった。
使用機種は、アンプがアキュフェーズ・A-75(すいません。A-80ではありませんでした)、C-3900、CDプレイヤーが同・DP-900、DC-901、クリーン電源、同PS-1230。スピーカーは、タンノイ・アランデル、スーパーツイーターがカン サウンド ラボのGEM TS-208といったところ。試聴位置は、SPから2m弱。音量は39㏈とそんなに高くない。
ビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビイ」。オーディオ・ユニットの解像度が上がるとヴィレッジヴァンガードのそばを走る地下鉄の列車の走行音が聴こえるらしい。残念なことに僕には、CD再生中に走行音が聴こえた事はない。演奏とは関係ないので聴こえなくともいい。それより、格段にレイ・ブラウンさんの歌の方がビューティフルだ。
6月初旬に行われたアキュフェーズ試聴会。その解説に登場した猪熊隆也・常務取締役。新製品の音質判断に「プリーズ・リクエストのCD」を使っている。その中で、レイ・ブラウンのベースを重要視している。「CDは、発売された時期によりベースの音が違う。私は、耳に慣れた初期盤を使っている」というので初期盤がどのようなナンバーか、判らないが発売時期の異なる三種を聴き比べてみた。聴いている内にレイ・ブラウンさんが歌っている事に気が付いた。なんて、オーディオって楽しいんだろう!。
ちなみに、自宅のシステムではレイ・ブラウンさんの歌は、曇って、こもりキレイに聴こえない。
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