オーディオ・ベースマン見たり聴いたり 開運橋のジョニーの蓄音機・・貴方の音楽人生が判る。

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり 開運橋のジョニーの蓄音機・・貴方の音楽人生が判る。

開運橋のジョニー。SP盤が聴ける。蓄音機や店のメインシステムで。カートリッジは、鉄針、MM、MCの三種類。アイキャッチ画像は、蓄音機のアームにMMカートリッジを取り付け、電気モーター駆動に改造。改造は、ジョニーこと照井顯(けん)さん、自ら実施。鉄針は、’あらえびす記念館’で聴くと、鉄の金属音が乗るため、違和感があった。ジョニーでも同じ。一方、MMだと柔らかさも出て、SP盤の素直な音質が楽しめる。

サラ・ボーンの最も古い録音。1944年。照井さんが、米国で購入。「割れたレコードを売る方も売る方だが、買う方も買う方だ」とは本人の弁。

帯域の広さ② 、解像力②、SN比(中間帯域、ボーカル帯域は)④、高域表現①、中間表現(ボーカル)④、低域表現①、コントラスト②、制動力(歪みがない感じ)①、透明感(ボーカル帯域で)③、繊細性①、音の輪郭、中庸、音の出足 (特に、低域が)遅い、音の鮮度 (特上を通り越し)極上(注1)、質感・密度(中間帯域が)④、デザイン(見た目、古き良き時代を偲(しの)び)⑤。特長、「照井さん、音は鮮度が高く、いい感じですが?」。「ええ、(録音時、再生時、色々と複雑な)回路を通ってないので、良い音(に聴こえる)と思います」とジョニー。難点、盤の取り換えが忙しい。チリ、パツ・ノイズは必ずある。オーディオ的性能としての高解像度、高SN比、広帯域、高域表現、低域表現は、得られない。高域、低域とも歪(ゆが)み、くすみが発生。適性、とはいうものの、サラ・ボーンのデビュー時の声を聴くと、中間帯域の素直な歌い手の持つ声質が明瞭に聴こえ、嬉しい。中間帯域の歪み、遅滞(ちたい)が我慢できれば、独奏楽器、ボーカルが合うと思う。寸評、極めて趣味性の高い(マニアックな)音。出てる音を整理して聴く必要がある。

なぜ、SP盤の愛好者がいまだに多いのか?。以下の文書を読んで、『SP盤愛好者が、よく音楽を理解しているとは、勘違いはしないように』願います。あくまで、一つの考察、穿(うが)った考えです。「SP盤は、音が乏(とぼ)しい、貧(まず)しいが、その音を聴き手が、自分の頭の中で、これまで人生で聴いてきた音楽の全て(をSP盤の音から連想させる音に置き換え)整理して、変換、増幅、再構築して聴いているため」と照井さんと意見が一致。「無我の境地(注2)」に至らしめる音源。それが、SP盤。思わず、聴き入ってしまう。現代の高音質と大いに標榜される、つまり、時間当たり(例えば、一秒間)の記録されている情報量の多い ‘ハイレゾ音源’ とは、正反対の音源。 ‘ハイレゾ音源’ 、莫大な情報のビックウエーブ。果たして聴き手の頭脳が「降り注がれる音の情報処理が正確にできるのか?」、脳みそを使わなくとも多大な音情報が聴こえる事に「感動が伴(ともな)い、長続きするのか?」。SP盤を聴くとそのような疑問が湧く。

まさに、広い意味で、音楽愛好家を自負する方の鑑賞力、人生が問われる音源。ただし、チリ、パチ・ノイズに生理的嫌悪感を催す方がいるのも事実。

(注1)出てくる音を頭の中で再構築した場合。(注2)ここでは「一つの事に集中、没頭していること」という意味で。