オーディオ・ベースマン見たり聴いたり キース・ジャレットのアップ・フォー・イット・・どうして音楽の印象が違うのだろう?。

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり キース・ジャレットのアップ・フォー・イット・・どうして音楽の印象が違うのだろう?。

キースの「UP FOR IT(アップ・フォー・イット)」。アキュフェーズの10年ほど前のモデル・C-2420とA-35の組み合わせとアキュフェーズの現行商品のプリアンプ・C-3900とパワーアンプ・A-75とで聴いた。

A-35。2009年7月発売。発売時価格40万円ほど。

「ハッキリ、クッキリ、スッキリ」の音質が大好きな店主・細川茂雄氏。その意味ではC-3900とA-75の組み合わせが、本人の琴線に「グッ」と触れるみたい。でも、「(聴き手の)気を引くような、あざとい(といったような)キャラクターづけで売り出そうとしていない。まっとうな音、まとまった音」のC-2420とA-35の組み合わせも捨てがたいご様子。『いや~、オーディオって面白いなぁ』と思わせる瞬間、楽しい比較試聴の時間。僕の感想は「キーストリオの演奏。C-3900だと統一感、一緒に演奏している、お互いの音を聴き合って演奏している感じが薄い。いや、無い。C-3900、ピアノ、ベース、ドラムの各楽器の音は、ハッキリ、クッキリ、スッキリしているけど、なんか、なぁ」。それで、「細川さん、僕としては、音の背景はくもり、混濁し、高域は伸びず、低域も締まらないけど、トリオの演奏としての一体感、纏(まと)まりはC-2420の方がいいと思います。どうですか?」と。店主「確かに、演奏感はC-2420がいい」と。まあ、この後に「でも、私はC-3900の音質を取ります」と付け加えるでしょうが…。そこまでは言わなかったし、僕は訊ねなかった。十年ほど、一緒に試聴を繰り返しているので、お互いの好みは分かっている。尊重している。

C-3900とA-75が、三人の演奏者、各個人の表現、技術、各楽器の音色を忠実に再生するとするなら、C-2420とA35は、演奏の統一性、融合性、三人(トリオ)として目指した音楽表現を再生すると聴こえる。C-3900が客観的、C-2420が主観的な音。この二通りの要素を聴くことができるのがベースマンの真骨頂。オーディオマニアなら、自分の好きな音調、表現をしっかりと把握、表明した上で、オーディオ機器の評価をしたい。そして、音楽を楽しみたい。

A-75価格143万円。できれば、パワーアンプとしてはこの性能が欲しい。でも、無理する必要はない。