オーディオ・ベースマン見たり聴いたり EMT930st・なぜ?歪む その②・・アナログは大変。

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり EMT930st・なぜ?歪む その②・・アナログは大変。

EMT930st。EMTの縦十字のピン配置のカートリッジ・TSD MRBを装着。レコードを再生すると、20分ほどはいいのだが、最後の10分ほどから音が歪んでくる。他にも試聴しなければならない機器があり、問題解決まで二年越しになってしまった。アレコレと原因を探りながら聴いていると店主「やっぱり、カートリッジかな?」と。TSD MRBを装着当初、歪みを生じた時、一番初めに店主が疑ったのが`針先‘。「このような音は、針先に問題があった時に出ます」。長年、数多くのカートリッジを店のみならず、お客様の部屋、オーディオ・ショウ、メーカー試聴室などで聴いた経験がそう判断させたのだろう。

トーンアーム929のインサイドフォースキャンセラー部。三つのミゾが切ってある。内側から2g、2.5g、3gの負荷を掛けるらしい。内側に引かれるためテグスの長さも重要だ。

接続不良、断線、部品の不具合など場合、音が途切れる、高くなったり低くなったりする症状がでる事が多い。そんな現象は起きない。それで、インサイドフォースキャンセラーが適正にかけられていないために歪みが生じることも疑われた。トーンアームに掛ける加重を、2g、3gと変えたが歪みはでる。原因は、キャンセラーではない。その後、アームをダイナミック・バランススタティック・バランスにセットしてみたり、プレイヤーの水平を水平器で測り水平を出したりもした。また、ターンテーブル・シートも変えてみた。いずれの場合も、改善されない。原因追及を僕は諦めていた。「やっぱりカートリッジかなぁ?」と店主。店主が、以前、普通のアームに縦十字のピン配置のカートリッジを取り付けられるコネクターでTSD MRBの音は確認していたとの事なので「それは無いと思います」と僕。最後の最後に店主が「針圧を変えてみましょう」と。メーカー指定の2.5gから2.0gへ。キャンセラーのウエイトは2g、最内側のミゾに掛けて。レコードの内周を通過する針先…素晴らしい音が出た。安心した僕は、ビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビイ」のOJC盤を取り出し「両面聴きましょう」と店主に提案。二人で堪能しました。「SPUなどは、(同じ機種でも指定)針圧が(時が経つと)変わっていることがあります」。店主によるとカートリッジは、取扱説明書に書いてある推奨針圧が発売当初の値から変化している事があると言う。

ダイナミック・バランスの時はアームの目盛りを使う。デジタル・針圧計で測ると、少々、誤差がある。ネットで調べていたらトーレンスのアームは楕円針、丸針といった針の尖端の構造により針圧を調整する機能が付いているものもあるから驚き。
SEMのアーム。テグスを取り付ける位置で加重が変わるようだ。店主は、店にターンテーブルが来た時点で聴き「これでいいだろう」という位置(値)にキャンセラーをセットしている。

二年越しの問題解決。こんな苦労をするのだったら、レコードよりCDを聴いた方がいいとつくづく感じた。DP-なんちゃらや、D-なんとかで音楽を聴いた方が楽。アナログの音とデジタルの音の違いの比較の前にアナログは面倒。プレイヤー周りの機材に振り回されるのはもういや!。あまりにも音質を変える要素が多く「ハァ、そうなの⁉」ため息がでる。今後は、アナログ録音の新譜、レコードは発売されない。

…といっても後戻りはできませんが…。

釣りの鉛をわざわざ買ってきて重さを調整。