オーディオ・ベースマン見たり聴いたり 2025 東京インターナショナルオーディオショウ その① アキュフェーズ・ブース・・帝国に君臨する音を聴け!。

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり 2025 東京インターナショナルオーディオショウ その① アキュフェーズ・ブース・・帝国に君臨する音を聴け!。

B&W801D4 Signatureとアキュフェーズ製品群。「オーディオの音とは何ぞや?」という問いに完璧に答えた再生音。スピーカー(SP)から音が放たれる。その音に「愕然」。次の瞬間、「唖然」とし、「呆然」となり、次々と畳みかけられる再生音に「慄然」となる。`ナイトメア、悪夢´とも思われる試聴時間。音の洪水、かつて体験した事のない音に`クラクラ´する頭を抱え席を離れる。ブースを出てロビーで頭を、いや、耳も冷やし、「ハッ」と我に返り「平然」となるまで時間が必要だった。これが現代オーディオ最高峰の音!。

B&Wとアキュフェーズの能力を十全に思い知らされたレコード、音源。

ひょっとしたら実演では聴こえる事がない音まで聴こえる。余計な音まで聴こえる。広帯域、高解像、高SN比、高コントラスト。オーディオ用語で「こう」が冠むられる単語が並ぶ。滲みなく、幾筋もの光芒を放ちながら形崩れることなく一直線に伸びきる高域表現。最高域は、耳に突き刺さる恐怖すら覚える。明確で明瞭な人の声。すなわち母音、子音がハッキリと曇りなく聴こえる中間帯域。SPから解放された引き締まった低域は、強く押し出され、存在しえない立体的な音の圧力を聴き手に届ける。床を伝わり足元に達する最低域の確かな振動。立体的に林立する奥行きある音像、その確固たる定位感。上下左右違和感なく拡大する音場。全帯域に渡り冷静、怜悧に音を解像、繊細性まで醸し出す。あくまでも客観的に…。その音質は、完全写実基調。最高域、最低域表現ではこの組み合わせを超えるメーカーは存在しない。

「ジョン・ウィリアムス・AT THE MOVIES」。「THE Imperial March」が再生された。聴きどころは多いが、特にパーカッション(打楽器)。弦楽器、管楽器が鳴る中、ハッキリと聴こえるトライアングル(Triangle)の音。B&Wのウーハー2基を前後に稼働させながら再現される強烈なグランカッサ(Glockenspiel)の締まった轟音。演奏者の威風堂々(いふうどうどう)と体全体でバチを使い叩く姿がSPの向こうに存在する。

2025 東京インターナショナルオーディオショウ。三日間限りの開催とは言え、いわば、オーディオの諸侯が一同に会し、帝国を形成するがごとき催し。当然、君主は必要だろう。B&Wとアキュフェーズ正に、オーディオ帝国に君臨せんとする音。この音を判断基準として各ブースを訪れた。

果たして君臨できたのだろうか?…。

それとは別な感慨が僕を捉えた。客観的な写実基調の音に圧倒されながらもこう思った。「B&Wを買うことはない…」と。

左のSP・FINE AUDIOの再生音だと、客観性は後退する。ちょっと、主観的になる。この辺の演出、上手い。