オーディオ・ベースマン見たり聴いたり ワルツ・フォー・デビィその④・・やっと謎が解けました。

ビル・エバンスのシルエットジャケット、五色。左から、箱(黒)、午後の第一回目(赤)、A面が午後の第二回目 B面が夜の第一回目(緑)、A面が夜の第一回目と夜の第二回目(青)、夜の第三回目(黄)。

ザ・コンプリート・ヴィレッジ・バンガード・レコーディングス、1961。四枚組。ヤフオク、amadeusistさんより分譲品。

第2曲目 「ワルツ・フォー・デビィ」、第3曲目 「デトゥアー・アヘッド」 第6曲目 「マイルストーン」。ワルツ・フォー・デビィのLPを聴くとこの三曲で客がやたらうるさい。「どうして?」と常々、聴きながら考えこんでおりました。この四枚組LPでその答えを見つけました。

夜、お酒をしこたま聞(きこし)召した客様が出来上がっている。「酔っぱらって、いい気持ち(ハイ)になって会話している」ということでしょう・・多分。

1961年 6月25日の日曜日、ヴィレッジ ヴァンガードでの演奏。午後2回、夜3回の計5回。おそらく、各ステージ、40分ほど。ステージの前、店員が、「商売、商売」とばかりに客から飲み物のオーダーを取りまくっていたと思われる。日本は、1ドリンク付き一時間から一時間半のライブが多い模様。ちなみに、ベイシーでの渡辺貞夫(2017年)は1ドリンク付き2時間だった。

一枚のレコードに収められた6曲の録音順は以下の通り

一曲目 ”マイ・フーリッシュ・ハート” が午後一回目(この曲はこの一回のみの録音)。二曲目 ”ワルツ・フォー・デビィ” が夜の三回目(その日、2回目)。三曲目 ”デトゥアー・ヘッド” 夜三回目(3回目)。四曲目 ”マイ・ロマンス” 午後2回目(一回目)。五曲目 ”サム・アザー・タイム” 午後2回目(この一回のみ)。六曲目 ”マイルストーン” 夜二回目(この一回のみ)。やはり夜です。ライブ中、お酒が進んだ客がさわいでおります。

酔った客のパラパラとした拍手、昼間から酒を飲んでいる女性の嬌声、男性のヤジ(!?)、チップ目当てに、そそくさと音をたてながらグラスを片付ける店員(?)、そういった「数々の音」がこの録音の魅力を引き立てていることは間違いありません。制作のうまさを感じます。

月刊「ステレオ」誌 2018年8月号。テラシマ円盤堂の一文。「・・ベーシストのスコット・ラファロはギャラの値上げ要求をのべつまくなし、ところ構わず行っていたという・・」。果たしてこの時のトリオの出演料は、いかほどだったのであろうか?。

2月20日 追加 一晩、一人10ドル。ネットで調べたら出てました。ジャズ評論家の小川隆夫さんが、ドラマーのポール・モチアンさんから聞いたとの事。さて、また疑問が?。この金額で生活できたのでしょうか?。出来なかったみたいで、結婚式などの演奏で糊口(ここう)をしのいでいたみたいです。