オーディオ・ベースマン・見たり聴いたり  B&W805D3 試聴

DSC_0028前モデルより30万円以上の値上げ。一回り小さくなった外観は、インパクトの強いこれまでのモデルと比べ、側面のエラがとれ、アクが抜けたデザインは好印象。インテリア家具としても十分。後ろにドン!とお地蔵さまのごとく控える802Dに比べ、絶対的な重量は軽く、嬉しいことに設置は楽にできる。

第一印象は、明瞭で明快、サイズを超えた、広大な音。解像度、S/N比(音楽の背景の静けさ)は高い。音の輪郭は整っており、立ち上がりは鋭く、コントラストも素晴らしい。中域は、なめらかで、繊細、各弦楽器の倍音を見事に表現、低域は、コントラバス、グランカッサ(大太鼓)といった楽器の音を引き締め、その分離は生々しい。両域の質感、量感の高さに驚く。スメタナの「わが祖国」の第二曲<モルダウ>、ベルリオーズの幻想交響曲、第五楽章<サバの夜の夢>の中低音楽器の再生は十分、聴きごたえがあった。

一方、B&Wご自慢のダイヤモンド・トゥイーターをもってしての高域表現は、イマイチのような気がした。伸びが甘く、解像度も少々荒かった。倍音が作り出す艶といった魅力も感じられない。<モルダウ>の中の弾けるトライアングル、<サバの夜の夢>の不気味な鐘の音の表現に不満が残った。後方の802Dの高解像トゥイーターを聴いてきたためかもしれないし、試聴時のセッティングのせいもあるかもしれない。うーん、もう少し、真っ暗な空に艶やか炸裂する打ち上げ花火のようなパッと弾ける高音の印象が欲しかった。それと、少々、音の奥行きが狭いような気が・・。横方向は十分だけど。

スピーカースタンド込みで約100万円。一般の人は一生に一度の買い物となるであろうか。悩ましい金額だ。ダンピングがきき、歪みが少なく、中低域の高S/N比、高解像度、音楽的表現力は魅力的。これからの人生で新車購入を諦め、導入に踏み切るのも一つの考えかも。音は、セッティング、オーディオ・アクセサリーの工夫で改良できる。ちなみに、後ろの802Dは展示処分品で150万程度とか。設置スペースに余裕があれば(もちろん、金銭的にも、腕力にも自信があれば)、一考の対象としたい。

使用機材

アキュフェーズ C-3850、M-6200、DP-700 、PS-1200V、PS-520

試聴CD

スメタナ 交響詩<わが祖国> クーベリック指揮 ボストン交響楽団 グラモ  フォン POCG-7054

ベルリオーズ 幻想交響曲 作品14a シャルル・ミンシュッ指揮 パリ管弦楽団 EMI CLASSICS TOCE-59008

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