オーディオ・ベースマン見たり聴いたり 告白その③。音楽1の僕。ツィゴイネルワイゼンを聴くと…。

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり 告白その③。音楽1の僕。ツィゴイネルワイゼンを聴くと…。

中学の通信簿の成績。五段階評価で音楽の評価が、2だったことがある。担任が言った「本当は、1だけど」。素行が悪い(不良ではない)生徒だったが、可愛げのあるところもあり、温情で「2」にしてくれた…。

ツィゴイネルワイゼン。サラサーテの演奏は、ぬるく、ハイフェッツは鮮烈だ。

アイキャッチ画像中の本「ヴァイオリンの魅力と謎」。それによると、サラサーテの演奏は、「~悪い面は彼の柔和な、情熱的でない、生ぬるい音の出し方(カール・フレッシュ・回想録)~」だったという。S Pから復刻された自作自演するサラサーテの演奏を聴くと、確かに、優しく、おっとりとした演奏の感を禁じ得ない。 一方の、ハイフェッツというと「正確無比な音程で、ハイ・スピード・アンド・効果的なブレーキング。圧倒的な音のコントラスト、メリハリの利いた切れ味」。残された録音を聴くものは、その凄まじさに、愕然(がくぜん)とし唖然(あぜん)となり呆然(ぼうぜん)とするだけ。演奏家だったら、慄然(りつぜん)として悄然(しょうぜん)となるに違いない。しかも、オーディオ機器、ハイエンドで聴くと、一層、面白い。ハイフェッツとオーケストラの演奏。「ツィゴイネルワイゼン」の第四楽章。ギアがトップに入り、一気にハイフェッツが、スピードアップする。すると、オケのコントラバスの演奏が変化。「細川さん、オケのコントラバスの何か変な感じですけど?。焦(あせ)ってるいる感じが…」と店主に訊ねると。「ええ、ハイフェッツの音に遅れまいと、早く弾いている(音を出している)。音があってない。必死に(遅れまいと)弾いて、ヴァイオリンに合わせようとしてない。おそらく、奏者は、指揮者の方しか見てませんよ」。サラサーテは、ピアノの伴奏で演奏しているが、レコードで聴く限り、ヴァイオリンとピアノの低音、音は、揃っている。ハイフェッツのことですから、指揮者とオケと事前に打ち合わせをして、編曲。楽想を損ねることなく、かつ、劇的効果が上がるように演奏、録音したのでしょうけど。 ”コントラバスの必死さ”。それが、オーディオ機器のグレードアップに比例して良く判る。

中学時代、音楽2の成績を取った素行に少々難のある少年が、四十数年後には、音楽に関する文章を書いてた。 チョット、物事に興味があり、正しい事を教えてくれる人達と出会い、定番となっている本を読めば、音楽に関してここまで書ける。そうそう、思い出した。アメリカの作家であるオー・ヘンリーの短編に「After Twenty Years (二十年後)」という短編小説があった…。