オーディオ・ベースマン見たり聴いたり アキュフェーズ A-50V その①・・VS A-48。
- 2021.02.25
- オーディオ
アキュフェーズ・パワーアンプA-50V。1998年発売。同A-48との比較試聴。「アキュフェーズは、ひっそりと、誰にも語らず、低音の改良に努めてきたのでしょうね。A-50Vは、(旧)佐々木電気(注1)のリファレンス(注2)でした。当時、最高のアンプと言われてました。が、私には、店で鳴らしていて、JBLやタンノイの低音が、今一つ出てなかった気がしたのです(注3)。今回、A-48と比較してハッキリと判りました。やはり、低音が弱かったのですね」と店主。たゆまない改善努力と技術革新の成果。二十数年後の低音が、A-48の低音というわけだ。今、その成果が店で聴ける。
A-50V、オーディオ的要素でいうと、A-48より秀でている点は二つ。最高域の伸び(荒れ、歪みはあるが)、演奏者のセパレーション。ビル・エヴァンス・トリオのCD「ANOTHER TIME」。A-50Vで聴くと3人の演奏位置は、スピーカー(SP)の再生空間の中に。生演奏で味わえる程よい距離感、ディスタンスがある。A-48だと3人が楽器とともにSP間の真ん中に固まってしまう。A-50Vは、高域の伸びと好セパレーションが相まってエヴァンスがトリオを引っ張っている感じは掴める。が、低域表現の”歪み、くすみ、締まりのなさ”といった欠点から、エディ・ゴメスのベースが弾まない。そのため、3人の演奏がトリオにならない。エヴァンスだけの演奏に聴こえてしまう。低域表現の優れたA-48では、ドラムのジャック・ディジョネットを含む、間違いようがないトリオの演奏。ジャズ音楽だ。
その翌日、25日。岩手県盛岡市民文化ホール・小ホール。加藤知子さん(ヴァイオリン)、宮田大さん(チェロ)のデュオ&ソロリサイタル。第一曲目、バッハの無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV1007から”プレリュード”、”メヌエット”、”ジーク”。宮田さんのチェロの音、同ホールの響きの良さ(注4)と相まって、美しく、綺麗(キレイ)。「あ~、この音は、A-50Vの濁った低音では、再生できない。ウーン、A-75ならどうかな?」と嘆息。演奏会は、宮田さんの後を受け、加藤さんがバッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番 二短調 BWV1004から”サラバンド”と”シャコンヌ”を披露。宮田さん以上の拍手喝采。モーツァルトの二重奏とアンコールのヘンデルの”パッサカリア”では、加藤さんが、宮田さんに仕掛ける(私は、こう弾くけど、あなたは、どう弾くの?)スリリングな展開に。満員の会場(最前列で聴いていたので後方の入り具合は不明だが)は、沸き立つ、沸き立つ。大いに盛り上がり、演奏者ニコニコ、観客大満足。オーディオ的にも大収穫の演奏会。
(注1)以前の店主の勤務先。閉店のちに独立。(注2)音質の判断基準の基となるもの。(注3)「JBL、タンノイとも 低音がでないため、 躍動感が無い、つまらない音に聴こえた」と店主。(注4)岩手で一番音質の良いホールは、大船度市のリアスホールだと思っている。なんといってもきめ細かい高域の広がり、その消滅の瞬間(打ち上げ花火が消える感じ)が素晴らしい。
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