オーディオ・ベースマン見たり聴いたり アキュフェーズ P-800・・鷹揚(おうよう)な音質。

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり アキュフェーズ P-800・・鷹揚(おうよう)な音質。

意外な音質でびっくりした。アキュフェーズ・P-800。1988年発売。中古品。30万円。「クリアで滑らか」と店主。このパワーアンプを聴くと、オーディオ的性能を追い求めるのが、つまらなくなってくる。

筐体(きょうたい)から電源コードが二本出ている。

ボケ、くすみの発生しない高SN比。高域を締め、帯域が下がるほど末広がりに緩くなっていくピラミッド型の帯域バランス。電源部に余裕があるのか、音に「力強さ」がある。「力強さ」といっても高密度な湧きあがるエネルギー感ではなく、もっと鷹揚な、ゆったり音を拡散するかのような、おおらかな「力強さ」。その「力強さ」でもって帯域を広げ、音を伸ばす。高域は、色、艶(つや)があり、低域は、程よく分解され飽和することがない。中間帯域の分離は、甘い。響きがどこかに消えてしまうのか、ヴァイオリンとヴィオラの音色の違いが判らなかった。しかし、そういった瑣末(さまつ)な事を気にかけない「余計な音が聴こえない」良さがある。言ってみれば、大人(たいじん)の風格。

今、ベースマンにある三つのアキュフェーズの中古パワーアンプ。「繊細さと正確な音」が同居するA-50V、「正面だけを見据えた生(き)真面目な音」のP-5000、「寛(くつろ)いだ音」のP-800。 それぞれ、性格の異なった音質を聴かせてくれる。