オーディオ・ベースマン見たり聴いたり アキュフェーズ DP/DC-1000 歴史は動いた。その⑦・・店主の総括。

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり アキュフェーズ DP/DC-1000 歴史は動いた。その⑦・・店主の総括。

アキュフェーズ・DP/DC-1000。「アキュフェーズの技術でもってしても、CD(の音質)はレコード(の音質)を乗り越えなかった」と店主。「えっ、違いますよ!。アキュフェーズだからこそ、CDの音をここまで マイニング( 採掘)したんじゃないですか?」。これは、最終日の23日(月)、ビル・エバンスの「ワルツ・フォー・デビイ」を使って、レコードとの比較試聴を終えた後の僕と店主・細川さんの会話。

アコースティック・ソリッド・マシーン・スモール。カートリッジは、EMT XSD15

試聴期間中、お客様が持ち込まれた色々なジャンルCDを試聴。「(試聴に来られた方は)750を所有する方が、ほどんどでした。750から、1000に替えると、皆さん、(その音質に)ビックリして聴いていました」。「ボーカル、夏川りみの『涙(なだ)そうそう』。750→950→1000の順で鳴らしました。1000で再生した時、私、思わず『涙(なみだ)』がでました。鳥肌が立ちましたよ。CDプレイヤーが性能が替わるだけで、こうも(演奏が)変わるのか。リハーサル(750、950の再生)が終わり本番(1000の再生)になったみたいでした。喉の動き、声の強弱、コブシ(の回し方)、生(の演奏)と錯覚しました」とCDプレイヤー同士の比較試聴を語る。「ビル・エバンス・トリオのチャック・イスラエルのベース。(750、950では)ボヤーっとしているのですが、1000では弦の音が見える(ように聴こえる)」。

で・・、その1000のCD再生音のどこに不満が。「(レコードと比べると)エヴァンスのピアノの音。ピアノ(という楽器の)音がしない。こもっているし、躍動感しない、音が立たない(といった感じです)」。「あれ、でも、シンバルの音、ベースの音は、ハッキリ、クッキリ、スッキリしていいですよ。」と僕。「そうですが、やはり、中間帯域の表現が(レコードに比べ)今一つかな。高域もスッと入ってこない(伸びない)、詰まった感じです」。「ええ、高域。僕は、逆に、伸ばしすぎで、不自然です。中間帯域は、痩せた感じがします。が、帯域は広いし、澄み切ったSN比、歪みがないし、低域の締まりもいい。実演と比べたらどうかという点は、置いておいて、オーディオ的要素では、レコードの音を上回っていますよ」。「確かに、カートリッジがトレースする(際に発生する)歪はないですし、(音楽の背景が)スッキリしてますが…」と店主。「細川さんが指摘するよく聴こえない部分は、5、6年後の記念モデルに期待しましょうよ。それを楽しみにしましょう」とお客様の好意によるDP/DC-1000の試聴を終えた。

このような事も言っていた。1000を鳴らしていて、表から店に入ってきた店主「ああ、CDの音だ」。僕は、逆。表から店に入り「レコードの音がする」と思った時は、1000が鳴っていた。

音に対するこだわりの多い店主。なんと欲深…、いや、探求心が強い方。二人で試聴し続けると、最後は、細か~い不満点が出てくるのが、決まったパターン。そして、店主に「妥協(だきょう)」ということがあると僕が「諭(さと)し」、試聴が終わる。ああ、疲れる。