オーディオ・ベースマン見たり聴いたり 猫の魔法でCD(音楽)を聴く・・今井信子さんの「祈り」。(生活・今昔)
- 2022.11.08
- 猫の魔法でCD(音楽)を聴く
「ティンク、うちのネコですけど、避妊手術をしました」。試聴を終え、一休み。店主に語りかけた。「ええ、避妊はした方が、いいです」とベースマン店主・細川さん。避妊の理由は、①僕にやむを得ない事情が発生し、一緒に住めなくなった場合、引き取り先が探しやすくなる。②万が一、妊娠して子ネコが生まれても、僕は面倒を見られない。③発情期は、本能が優先するため、思いがけない事故が発生するーといった事から。心を鬼にした。
文春文庫の 新版 「クラシックCDの名盤」 演奏家篇。第3刷発行の401ページの第一行目。中野 雄(なかの たけし)さんの解説によると、「~わが日本の今井信子の名が喧伝されるようになって、ヴィオラは『アンサンブルの内声部を受け持つ目立たない弦楽器』から『人生の内声部を表現しうる、稀有な潜在能力を秘めた弦楽器』に変身した」とある。このCDのヴィオラの弦の音を聴くと、緩みなく締まり、陰影コントラストの強い、意思の強さを想起させる。弾かれている曲が`現代‘というものを抉(えぐ)り出す音楽という事もあろうが、その緊張した表現、演奏は、厳しい。ヴィオラという楽器は、ふくよかさ、柔らかさ、優しさ、やすらぎを与える音色を持つと思っていた。そのヴィオラの音が、冷たく、立ち入るスキなく、常に緊張している。透徹というか冷徹というのか、ヴィオラをここまで厳しく鳴らす技術にはビックリする。「そこはかとなく」といったような曖昧(あいまい)な感傷に流されない。今井さん、僕の好きな曲、モーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲変ホ長調K364は、どのような表現で弾くのだろうか?。
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ネコは放し飼いが普通だった。店主の住んでいる雫石。野良猫で冬を越すことができるネコは、まずいないだろう。「ネコは、春先にかならず、5匹ほど子供を産みます。その生まれた子を毛が生えないうちに、川に流すのです。(たまに)その中の一匹だけを残します。(その現実に直面した)子供の私は、何回も泣かされました。(そうして、私の家のネコは)、5代(に渡り血が)つながってました」。昔は、生まれた子を捨てるのは、普通。ただ、農家にとってネコは、ネズミなど害獣退治のため、必要だった。一般家庭も同様。動物好きな人も多い。「今いるネコは、違います(血はつながってません)。コンビニに置き去りにされたネコを(私の)子供が引き取りました。コンビニに5匹の子ネコが居ついてました。コンビニの人が食事を与えていたようです。しかし、一匹、一匹と姿が見えなくなり、最後のネコが、うちにいるネコです。子供が引き取りましたが、ケガをしていたので、すぐさま、動物病院に連れて行きました。動物病院では、『お金はいらない(治療費はいらない)』と言われました。イッポンギの方(ほう)の病院です。ひと月入院して、うちに来ました」。感慨無量な話。
ネコ達は、人と暮らすようになって以来、かくのごとく様々な運命に遭遇。人間の家族の一員として「命をつない」できた。