オーディオ・ベースマン見たり聴いたり A級アンプ、AB級アンプの音質の違いをアキュフェーズはこう表現。

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり A級アンプ、AB級アンプの音質の違いをアキュフェーズはこう表現。

アキュフェーズ・常務取締役 大貫 昭則氏による試聴会。アキュフェーズ・AB級ステレオ・パワーアンプ・P-4600とアキュフェーズ・Class-A・ステレオ・パワーアンプ A-48S。その二機種の音質の違いを解説。大貫常務は、まず、アキュフェーズとしては、「言葉でA級アンプの音、AB級アンプの音の違いを説明するのは難しい」と訴える。その難しさを「低域。低域は、100㎐(以下)なのか?、80(以下)なのか?、60(以下)なのか?、それは各個人によって考え方が違う」と例を引く。確かに低域が何㎐なのかという定義はない。そこには漠然とした「低域」という表現があるだけだ。そのようにA級、AB級の音質の違いを説明するのは困難を伴うことを力説する。そこで、大貫常務は、その違いを明確にするため「AB級は`水彩画´A級の音質は`油絵´と例え(考え)たい。そうして、(その例えで)お客様との共通認識を持ちたい」と提案した。

パワーアンプは全て床に直置きで試聴。硬い床に置いた方が音質は有利だ。

それでは`水彩画´のAB級アンプはどの様な特長があるのだろうか?。「8Ωで150Wの大出力。大きな音、大音量がでるAB級アンプ。山に登って(その頂上から下界を眺め時と同じように)近くも遠くの物もハッキリ見える。澄んだ(大気の)中、木々の一本、一本が見える解像力の高さ。(音の)立ち上がりは鋭く、『パーン』と前に出る音。(そのため)遠近感(がでる)」と大貫常務は説明する。絵具を塗り重ねない、一発勝負で描く`水彩画´。透きとおった大気を通してみる広大な景色は、絵具を塗り重ねごてごてした`油絵´で描かれるより、澄み切って透明、爽快な表現が持ち味の`水彩画´があう。写真に近いその対象物そのものを写(うつ)す写実、簡素な表現。言ってみれば客観性が`水彩画´にある。そしてその客観性が「AB級アンプの音質にもある」と大貫常務は語る。

`油絵´のA級アンプ。「ボーカルでいえば(を聴くと人肌の暖かさがある)温度感がある。(聴いている)自分に向かって歌っている(感じ)。(歌い手に)スポットライトがあたり、(歌い手が)一歩前に出る。口元がクローズアップされ、(歌い手が)対象(聴き手)に近づく。感情表現が豊かで、演奏の熱さ(が感じられる)」。AB級アンプが客観的な音質をもつとするならA級アンプは「主体的(に音をとどける)」とした大貫常務。絵具を塗り重ねることにより対象の内面まで到達し、奥深さの出る陰影表現の可能な`油絵´。聴き手の感情に訴えかけるA級アンプの特長を如実に表した例えだ。

試聴の冒頭、大貫常務がこれから感じて欲しい事、考えて欲しい事を語った。それは、A級アンプの音、AB級アンプの音の違いや優劣というより、「A級、AB級、どちらがお好みの音ですか?。どちらを選んでいただくのですか?」。そして「(貴方が好きな)音楽にどちら(のアンプ)が向いてますか?」ということでした。