オーディオ・ベースマン見たり聴いたり アキュフェーズ試聴会・・新製品の投入は`営業´が決める。
- 2024.12.04
- オーディオ
去る10月19、20日に行われたアキュフェーズ・製品試聴会。「営業です」と大貫常務。前々から「新製品販売の最終決定は、誰が決めるのか?」という疑問があった。それで、試聴会の時に訊ねてみた。アキュフェーズの製品化への流れは、大まかに、開発担当者が`これで行こうと提示した試作品´の、①設計と製品の生産に必要な原価(コスト)の2点を確認、その2点が同社の要求を満たしてあることが確かめられた後、②その音質を猪熊隆也・常務取締役がチェック、それでOKが出されたら、③役員による試聴に移り、その性能、音質などに異存が出なければ、④営業による最終の製品の検討が行われる。そして、新製品の性能、音質、価格などが購買者に十分受け入れられると判断されれば市場に投入されるーとした流れになっているようだ。勿論、この一連の流れの中にはその他の細かな確認作業は入っているだろう。どの段階か訊ね忘れたが、全社員による試聴も実施される。重要な事は④で「市場の理解を得られない」と営業が断を下す可能性もある事。営業担当者は、アキュフェーズ製品使用者と多くの接触を持つ。日々、今、お客様が最も要求、期待している「音」を把握している事から最終判断は`営業´に委ねられていると考えられる。
1996年、同社のクリーン電源PS-500が発売された。営業の鬼頭さんによると「電源を強化しても大した効果はないだろう」と思っていた。が、PS-500を接続してガラスのコップが割れる音源を聴いたら「スピーカーからガラスの破片が転がる(飛び広がる)音が聴こえてビックリした」との事。「平坦な音」から「生々しい音」に変化。その効果を認識したとの事。「クリーン電源は、その中にパワーアンプが入っていると思ってください。パワーアンプで電圧をフォロー(補う)。(その効果は音の)揺らぎを取り、音の背景をスッキリさせ、キレ、力強さがでる。高域を明瞭にして、歪みを取り、(音の)深みが増す」と大貫常務。
「事前にアナウンスされた試聴会のテーマは六つ。① プリアンプに要求されているもの、② A級、AB級アンプの(音質の)違い、③ プリメインアンプとセパレートアンプの違い、④ ソフトの読み取りの限界に挑戦、⑤ クリーン電源を必要とする理由、⑥ 部屋の特性はどうなっているのか?ーだった(一部編集あり)。しかし、時間の制約と解説の流れの関係で②と⑤、⑥の三点の説明で終わった。「S/Nとダンピング・ファクター」というオーディオ機器の真髄を解説せざるを得ない②に力が入り時間がかかってしまったのはやむを得ないと思う。残ったテーマは今後の楽しみとしておきたい。
記事を書く側としても試聴会での行われた解説、説明の全てを書いているわけではない。特に、インピーダンスの話は興味深かった。インピーダンスの話はダンピング・ファクターとの兼ね合いもあり、機会があれば、また解説が訊きたい。書き手からすると、一般の人でも解りやすく書くのに手こずりそうだが、試みたいところだ。そして、試作品の「音質」をチェックする猪熊隆也・常務取締役。この方がどのような形で「音質」を判断するのか?。その基準とするものは何か?。興味深々だ。解説してくれる機会があればと思う。
アキュフェーズの試聴会。毎回、新たな楽しみが湧き上がる。
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