オーディオ・ベースマン見たり聴いたり トライオード試聴会 その①・・席を立つ者は居なかった…。

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり トライオード試聴会 その①・・席を立つ者は居なかった…。

`悔しい´。トライオード社長・山﨑 順一氏は`悔しい思い´を胸に秘めていた。同社のプレミアムシリーズ・EVOLUTION。それは、その`悔しさ´を晴らすため具体化された製品群。その音はどのような音だったのか?。一言で言えば「臨場感」。参加者を魅了した。

中央のラック最下段エソテリックのクロックは効果的だった。

山﨑社長の`悔しさ´、言い換えれば`もどかしい´思い。それは「真空管の(音の)持つイメージ。柔らかい、厚みがない、鳴らせないスピーカー(SP)がある、帯域が狭いなどといった真空管アンプに対する概念を変えたかった」という事。今回、試聴に使われたEVOLUTION PRE、EVOLUTION MUSASHI、EVOLUTION 300 30th Anniversary。山﨑社長の意図する真空管アンプの音のイメージを変革、その成果を世に問うた製品。その製品の音は、ライブ録音であれ、スタジオ録音であれ、聴こえてくるのは「今、正に目の前で演奏される奏者の声、楽器。演奏空間の空気のゆらぎ、ざわめき」。全ての音の粒子が閉じ込められていた録音媒体から制約の無い空間に放出される。自然に人の耳に到達。瞬間的に明滅を繰り返す音が聴き手の脳内にじっくりと浸透。引き締められた低域エネルギーの充実感、きめ細やかな音の粒立ち漂う中域、澄み切り、冴えた高域音の背景(S/N)に感じられるかすかな空気の動き。抜群の陰影コントラスト。体で聴く、体感する音、そのリアリズム、実在性。B&W802D3 prestigeとともに歌い上げられた音の世界。真空管アンプに抱いていた「人肌のぬくもり、柔らかい」と言った印象は皆無。それを突き抜けた世界、表現に到達。新たな真空管の音を構築。

19日(土)の二回の試聴会。山﨑社長は「これで試聴会を終ります。質問、ご持参され、聴きたいCDなどがありましたらどうぞ」と言って試聴会を締めくくった。しかし、二回とも試聴会が終っても誰も一言もしゃべらない。席を立ちあがらない。そこには沈黙しかなかった。どうしたのだろう?。何があったのだろう?。

*********************

店主評 最初の一音が鳴った瞬間からリアルで生々しい楽器の音そのものに驚く。他のメーカーだと「この録音はどういうマイクセッティング、音源からの距離」など頭の中で余計な計算をしてから聴いてしまう。オーディオ的な事をどうしても考えてしまう。(トライオードの製品は、そういった物が一切なく聴いてしまう)。

*********************

真空管アンプ試聴会というなので「まあ、優しい、柔らかな、明るい音を気軽に聴こう」と思って僕は参加した。聴いている内にこう思った。「これは、真剣に聴かなきゃダメだ。時間をかけなきゃダメだ。…購入を考えよう」。