オーディオ・ベースマン見たり聴いたり 2025 東京インターナショナルオーディオショウ その⑦ オーディオショウに行くという事。

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり 2025 東京インターナショナルオーディオショウ その⑦ オーディオショウに行くという事。

井上陽水さんの「夢の中へ」という歌がある。地下鉄・有楽町駅で電車を降り、東京国際フォーラムへ通じる地下通路を足早に歩きながらその歌の一節「夢の中で、夢の中で、行ってみたいと思いませんか?」という部分を心の中で歌ってしまう。会場に入場。気分が高揚する。そして、一日の開催が終り帰りの通路を歩きながら「夢の中で、夢の中で、買ってみたいとおもいませんか?」と心の中で替え歌を歌い会場を後にする。

エソテリックwithフェーズメーション・PP-5000。

東京インターナショナルオーディオショウ。2019年、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック前は、入場者は、お年を召した方が多く、女性、海外の方、障害のある方などはほんど見かけなかった。各ブースの講演、催しも画一的、変化が乏しい。長い間定番とされている音源、演奏を再生する事が多い感じだった。昔からのオーディオ好き、俗に言う「その道の通」を意識した製品発表会の雰囲気が強かった。従来からの人気製品、ビックネームの海外メーカーがその存在を誇示するかのように音を出していた。ショウの試聴会場は会議場を借りてデモンストレーションを行なっていたと思われるが、如何せん会議場なため、隣から低音が聴こえてくるなど試聴環境は恵まれているとは言い難く、出店した商社、メーカーは音作りに苦慮していた。

今年、6年ぶりにオーディオショウを見に行ったが、趣きが以前とはかなり違ってきた。一番は、会場を訪れる人。相変わらず、年配者は多い。しかし、若い人が結構いた。思っていた以上にいた。そして、女性、海外の方、まだ、少ないが障害がある方。二番目は、音源、演奏。解説者(注)がこれなら自社の製品をアピールできるであろうと選別した音源、演奏を選択するケースが増えていた。以前は、高音質、名演を謳(うた)う定番のような同じ曲が複数のブースで流れ、かぶり「またか」とあきれる事もあった。名盤、名録音はいいが昔の音源はパスしたい。このような機会なので、是非、解説者がチョイスした最新録音での名演を聴かせて欲しい。そこで、如何に自分達が取り扱う製品がこの作品の再生に合っているか、解説してくれることを望みたい。簡単に。たまに、解説に力が入りすぎ、曲が流れる時間が短い方がかつていた。三番目は、東京国際フォーラムでの開催に慣れてきた様子で、各ブースの音質が整ってきた感じがする事。苦労は多いだろうが、この辺りも腕の見せどころ、聴かせどころ。ケーブル、各種アクセサリー、以前より種類も増え、一味整える感じで使っている。各ブースで音質が開きつつある。㈱ロッキーインターナショナルのブースではクオードの大型SPを鳴らす際、「音が後ろから回り込むようにセットしました。聴いてください」とセッティングの聴きどころを提示してくれた。機器のセッティングは、興味のある人にとっては重要なので是非、「こんな表現にしました」と言って欲しい。色々な人を対象として催し物なので誰でも分りやすく、楽しめる工夫が必要だ。

オーディオ関係者は気軽に声をかけられる人が多い。疑問、聞きたい事があれば各ブースの担当者に声をかけてみる事だ。絶好の機会なので節度を守り、質問するのがいい。

オーディオショウは、`夢の世界を堪能する事´と思っているので、「高すぎて買えない」といった現実的な事は考えさせないで欲しい。ああ、そうか。だから今回、製品の前に置いてあるネームプレートが小さく、文字も虫眼鏡を使わないと読めなほどのフォントサイズ、文字サイズで印刷してあったのですね。考えてますね(笑)。来年も楽しみです。特に、今井商事のブース…。

(注) ここでいう解説者とは、オーディオ評論家や音楽家ではなく、メーカー、商社の社員の方たちの事です。

エストニアの「エステロン」というSP。アーク・ジョイア取り扱い。地方の人はまず、目にする、耳にする機会はない。こんなSPを聴くことが出来るのもショウの魅力。