オーディオ・ベースマン見たり聴いたり アキュフェーズ E-800S・・過剰表現。

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり アキュフェーズ E-800S・・過剰表現。

アキュフェーズ・CLASS-A   PRECISION INTEGRATED STEREO AMPLIFIER・E-800S。126.5万円。店のドアを開け中に入ったらクラシック音楽が再生されていた。再生音を聴いて「あれっ?。なんか無理した音だなぁ」と思いつつ階段を3段降りて左手にある使用アンプを見た。E-800Sだった。評価は同・AB級アンプ・E-5000を③として。

音も重いが、ちょっと重すぎる。重量35.7㌔。

帯域の広さ・③。解像力・③。音の背景の静けさ・④。高域表現(伸びすぎず、詰まらず)・④。中間表現(膨らまず、こもらず、痩せず)・⑤。低域表現(締まり)・④。制動力(歪みがない感じ)・③。コントラスト・②(シャキッとしないので)。透明感・②。繊細性・②。質感・密度・④。音の輪郭・太い。音の出足、早い(が、伸びやかさで5000より落ちる)。音の鮮度・上(極=5000、特、上、並)。デザイン・③。音楽の感銘度・②。特長、音が、「クッキリ」と太く、濃い。圧倒的な音の迫力。難点、音が「ガッチリ」し過ぎているので「重い、硬い」印象。なので伸びやかさが感じられない。適性、全ての音楽。寸評、セパレートアンプ並の音の広がり、力強さが感じられ「ハッキリ、クッキリ」している。オーディオ的性能は、5000を圧倒している。が、「スッキリ」していないため、自然な伸びやかさに欠ける。額縁で縁取られた良い油絵を見た時、額縁で括(くく)られた被写体(ひしゃたい)を突き抜けた印象を見る者に与える。残念ながらE-800Sの表現は額縁の中に音楽が重苦しく留まっている。枠の中からはみ出ない。E-5000は、オーディオ的性能は落ちても額縁から自由闊達、縦横無尽にナチュナルに音楽が湧き出る。800Sと5000では、見える(聴こえる)景色がまるで違う。入店時、再生されていた曲は、マゼール指揮のシベリウスの交響曲。第一ヴァイオリンの質感・密度は良いと思ったが、聴いていく内に、10人ほどいると思われる奏者の音が一塊に聴こえてきた。10人の弦の音には聴こえない。そして、音量。アキュフェーズアンプの音量は常に39㏈と決めている。が、39㏈で再生すると音が大きい。800Sのボリューム、44㏈ぐらいがいつも聴いている音量に聴こえた。比較のため5000も、ついでにアキュフェーズ・C-3900S+A-80も39㏈で聴いた。同じ音の大きさに聴こえた。アキュフェーズは、各アンプで㏈の表示は同じ音量になるように設計されている。プリメインでセパレートアンプと同等性能を狙ったためか、どこかに無理を生じている。

E-5000の音の向こうにはC-3900S+A-80の音があった。同じ方向性、表現を感じる。その表現とは、SNとダンピングファクターを追求して、人の声、楽器の音を虚飾を排し無心、忠実に再現することだと思う。しかし、E-800Sは、人の声、楽器の音を濃くデコレイト、意図的、恣意的に強調した感じに聴こえた。E-800Sの音の向こうにC-3900S+A-80の音は、感じない。「800S」は別な表現を狙った印象だ。過剰な表現だ。

皆さんも来年、じっくりアキュフェーズアンプを聴き比べてください。ご安心ください。E-3000からもC-3900S+A-80が見えてきます、聴こえてきます。すいません。E-700は聴く時間を取れませんでした。