日本酒 酒徒礼讃 宮城県大崎市 一ノ蔵無鑑査 本醸造 甘口・・「もっきり、やっぺし!」。

一ノ蔵無鑑査 本醸造 「甘口」。この酒、「辛口」もあるが、「甘口」の方が旨い。どう旨いのかは忘れましたけど・・。「もっきり」が合う酒だ。

酒屋で買った酒をその場で飲むことを北九州方面では「角打ち」と称する。一週間ほど前に知った。「もっきり」。岩手・釜石方面ではそう言う。

新日鉄釜石の全盛期、昭和30年代、40年代初頭。労働者は、甲・乙・丙(こう・おつ・へい)番の8時間の三交代で24時間、よく働いた。仕事を終えた男達は、朝、昼、夜といった時間に構(かま)わず、帰宅途中、「もっきり、やっぺし(やろう)!」と声を掛け合い、酒屋へ てく(歩き)か自転車でゴー。当時、給与は現金支給。酒屋は良かったでしょうけど、酒飲みの奥さんたちは、かなり難儀をしたことでしょう。会員(?)が100人を超える酒屋もあったとか。

ベトベトしない甘さがいい。燗で酸味が立つ。燗がオススメ。冷や(室温)だと無臭の甘く、酸味の少ない味。燗すると、饐(す)えた米の香り、酸味が立ち「甘味」がキリリと締まり、立体的に。後味として「酸味」が口の中に残る点もいい。四合瓶、858円の価格はまさに、「もっきり」向け(庶民向け)。

ラベルに特級、一級、二級という日本酒の等級があった頃の話が書いてあり、酒のつまみに丁度いい。等級を知っている世代としては、昭和は遠くなったことを感じる。

宮城県大崎市松山千石字大欅14番地 製造者 ㈱一ノ蔵 一ノ蔵無鑑査 本醸造 甘口 858円。

2019年 3月24日 追加

「辛口」は、酸味が強すぎる。「旨味」といった米の豊かな味が感じらないのがネック。味の広がりに欠け、少々、余裕が無く、せせこましい。米の「旨味」はなくてもいいが、その「旨味」を感じさせる何かしらの余裕が欲しい。