オーディオ・ベースマン見たり聴いたり ラヴェル 子供と魔法・・「ごんぼほり」はレコードで・・ 

ラヴェル 歌劇<子供と魔法>。レコードはデッカの復刻盤。CDは、2013年のサイトウ・キネン・フェステバル松本のライブ録音。指揮はデッカがアンセルメ、CDが小澤征爾。販売店で手した時、「青い瞳、真っ白な肌の少年。不安な表情に惹かれる」デッカを選ぶだろうなぁ。

オーディオ的要素では、CD・小澤盤が圧倒。しかし、感銘度ではレコード・アンセルメの方が上…と思う。

小澤盤。曲が始まり、声楽が聴こえると舞台下にオーケストラ・ビットがあり各楽器を抱えた団員が左右に展開しているのがよく分かる。広い演奏会場の雰囲気を損なわず、前後左右の見通しのよい音場可能とする高SN比。音の輪郭が、シャープな高い解像力。低音楽器から高音楽器までしっかり聴かせる広帯域。次々と舞台に登場する歌手の位置、距離が把握できる定位の良さ。音楽も楽譜も会場の音も隅から隅まで余すところなくゴッソリ収録。歌手もオケも同格に聴こえる。

一方、レコード・アンセルメ。再現される音場空間が窮屈なことからスタジオ録音だと思うけど。まるで、歌手の歌唱表現に的を絞ったかのような演奏、録音。ボーカル帯域は、SN比が高く、明瞭、明確。フランス語ながら歌詞の言い回しに繊細な表現を駆使。各歌い手が、伸びやかに縦横無尽に歌い切っているような気が…。オーケストラは、CDに比べ、解像度、SN比、高域特性といったオーディオ的な要素は、落ちる。音楽も楽譜全ての音符♪を聴かせるのではなく、多少、省略している感じもするけど。それでも、オケの各楽器の音にメリハリをつけ、伴奏に徹し、各場面、場面の情景をうまく描写しているような。

CDの瑣末(さまつ)で楷書的。全てを取り込もうとする録音。レコードのある目的を持ち、意図的な表現に趣きを置く録音。ジャケット芸術の説得力も高く、アンセルメの方が、ターンテーブルに乗せる機会が多い。

あらすじは、ごんぼほり(聞き分けの無いという意味など。北海道、東北地方の方言です)の子供が体験する悪夢。宿題を済ませない事をママからとがめられた子供が小動物や身近な家具に八つ当たりをする。普段から本を破ったり大木にキズをつけたりと乱暴な子。突如、幻想の世界に引き込まれた子供。これまでいじめたり、キズつけた彼らに、その行為を問い詰められ、襲われる。その混乱の最中、ケガをしたリスを手当し子供は力尽きて倒れる。それを見た、家具や本、小動物らは子供を手当てしようとするが、かれらにはできない。そこで、家のそばまで子供を運び、最後に子供が口にした言葉「ママ」をみんなで叫ぶ。家に光がともり、その光に向かって子供が「ママ」と呼びかける。