オーディオ・ベースマン見たり聴いたり カン サウンド ラボ  その①・・「スピード違反」で捕まりそう!?。

カン サウンド ラボ(Kan Sound Lab)のピュア リボン ツィーター。右が、ミューオン(MEWON) TS-001 ExcellentⅡ。148万円(ペア)。左が、GEM TS-208 ExcellentⅡ。182万円(ペア)。音質は、小型の方がやや硬質な印象。TS-002 230万もあり、計3機種のラインナップ。

音が、整列する。そして、システムの音を損なわない。もし、自身が持つシステムに愛着があり、それを変えず、音質を向上させたければ、是非、導入すべきだ。

高域を伸ばすためだけの、スーパーツイーターだと思うなかれ!。スピーカーに繋ぐと全帯域の音が規則正しく、整う、揃う。写真、タンノイ・アーデンでは、高域の荒れが滑らかになるが、それにも増して、中低域から低域表現がグッと明瞭、明確になる。

「気を付け!」、「前へならえ」、「休め」。学校の校庭で行われる体育の”集団行動”。散開していた子供たちが、号令一下、綺麗に整列したかのような、音の配列の快感。聴こえる音を、目に見える形に置き換えれば、こんな感じ。

無意味に帯域を広げない。「澄み切った」というより「いとをかし」的SN比(?)。「音の騒がしさが無くなる(店主・細川談)」ような解像度の良さ(?)。高域は、線香花火の「パチパチ」のように光り輝かず、「満天の星空をサッと流れる流星」。「混濁、濁り」が取り除かれた中間帯域は、スッキリ。「スーッ」と床を這って伸びてくる軽い低域。トランジェント(音の輪郭)は、極太にならず、薄すぎず。高コントラスト、ハイ・レスポンス。B&W800Dに繋ぐと、「スピード違反」(!?)で捕まりそう。

欠点は、奥行き。上の方向に音が伸びてないような気が。たとえば、オーケストラの団員が雛壇(ひなだん)に登壇、演奏しているその位置が感じ取れればと思うが。全然、悪くはないが、横一線にならんでいるように聴こえる。

230万のミューオン TS-002のカタログにこうある。

「・・・エネルギーはTS-208をWスタッグ(おそらく、二段重ね?)したものより上回ります 欠点は垂直の指向性… ExcellentⅡにおいて、振動版をくの字に曲げることにより克服しました」とある。正直に欠点を認め、改善できたことが書いてある。僕が、垂直の指向性を感じることができなかったのは、ベースマンでのセッティングが良くなかったのかもしれない。

なお、GEM TS-208は、「ステレオ サウンド誌」 2019 SUMMER No211 で 柳沢功力さんが第9回「僕のオーディオ回想」(p242)で導入の経緯が書かれ、「理想のあくなき追求 レコード演奏家 菅野沖彦の足跡」(p215)では室内の写真に載っていました。

一台、導入された方がいます。もともと、その方が自宅試聴。良ければ購入ということで、カン サウンド ラボから試聴機を取り寄せました。店にとって、店に通われるオーディオマニアにとって得難い製品を試聴でき大変、有難いことです。後続する方がいらっしゃるでしょうか…。