オーディオ・ベースマン見たり聴いたり B&W802D3 その①・・私、好きな音は、硬質なジャズ…です。

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり B&W802D3 その①・・私、好きな音は、硬質なジャズ…です。

「B&W802D3 プレステージ(Prestige)。ベースマンに来るお客様は、是非、このスピーカー(SP)を目標にして頂きたい」と店主・細川 茂雄。「(800Dがあった位置に)ポンと置いたら、良い音がでた。ただ、ボーカルの色、艶が出ない。それで、(SPセッティングの基本に帰り)平行置きから、試してます。まず、(ボーカルの)質感を求めたい。(角度をつけず)前と後、SP間の距離を変え、如何に音質が変化するか見極めたい。...このSPも(満足する音を出すには)一筋縄ではいかない感じです」。_800Dを満足できるように鳴らすまで3年ほどかかっている_。試聴機材は、アキュフェーズ製品のみ。C-3850、A-75、PS-1230、DP-900、DC-950。

「私の好きな音は、澄み切った、透明な空間にスッキリ、ハッキリ、クッキリした音(が出る事)。硬質な(音調の)ジャズです」。B&W802D3・Prestigeを鳴らしきる事。それをオーディオ人生の集大成にしたい店主。自身の求める音質をこう断言した。

今井信子 G.P.テレマン「無伴奏ヴィオラによる12のファンタジー」。セイコーエプソン TYMK-020。

広帯域、高解像度、高SN比、繊細に伸び切る高域、こもらず、膨らまない中間帯域、明確に分離され引き締められた低域表現といったオーディオ的性能は十分だろう。このSPの最大の特長は二つ。持続する倍音(響き)表現と意図的な要素を感じさせない音の立ち上がり。自然にコントロールされた倍音は、その終末まで、か細くなりつつも痩せることなく響き渡る。弾かれた一つの音符の音が徐々に細くなるが次の音符が弾かれるまで持続する。正座して仏壇の中の鐘を打つ。”チィィィィィィィーン”と響き渡る音の中で、小さくなっていく「ィ」が永久に続くかのような響きその音が分子、原子、素粒子と順に極小になるのが聴こえ、消える瞬間まで聴きたいと思う静けさが漂う。そして、音の立ち上がり。峻烈、強烈、圧迫といったオーディオ的な要素とは裏腹に極めて自然。視覚的に言えば、NHKの番組「筋肉体操」の講師、逆三角形のボディを持つあの先生が椅子を使ってスクワットするかのごとし。スムーズで的確、しなやか、余計な動きのない「スッ」とした挙動。美しい音の立ち上がりだ。ベースマンの800Dに代わるリファレンス。いつでも、聴けます。

オーディオ評論家の福田雅光さんの「新・オーディオルーム成長記」という動画をご存じだろうか?。これまでの評論活動の集大成としてリフォームされた部屋で「理想的な再生音はどうあるべきなのか。どういう方向性をもって音質を改善するのか」ということを念頭に、今後の音質の変化を報告する動画だ。動画では、まず、音響処理をしていない音を再現、次にオーディオボードを配置し、処理後の音が聴ける。処理前の音は、今のベースマンの音に似ている。動画、福田さんの内装の説明の後、6分30秒から聴こえるB&W800D3の音は、カラフル、反射音も加わりキレイな響き。色々な音が聴こえる。このような音が好みの方もいるかもしれない。ただ、ボーカルが二重、三重にも重なる。ちょっとピンボケかな。歌い手が何を聴かせたいのか、主題がわからないような気もする。対策後は、7分45秒あたりから始まる。カラフルに対しモノトーンで単調な音。ただ、スッキリと音の輪郭が纏め上げられ、ボーカリストの歌唱が際立つ。大人しい音調。音楽を聴く時に余分な要素、要らないものを削ったイメージ。二つの音を聴ける。どちらの音が好みかな?。