日本酒 酒徒礼讃 岩手県宮古市 ㈱菱屋酒造店 「フェニックス」・・・「ガサツ」だが・・

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透徹な酒の印象とふくよかな写真のイメージはあいませんが・・。 ぐい呑み 桃山期美濃・「繪志野幾何文四方酒盃」。ヤフオク、mukashigatarisorekaraさんより分譲。

旨い酒ではないが、「ガサツ」でいい酒だ!。

太い酸味は、良い香りとは言えない。しかし、それがこの酒の性格を表す。

口に含むと強いとは言い切れない程度の酸味から味が始まる。そう、始まるという感じ。口の中で4~5秒ころがして(噛んで)、少々の旨味が現れる。しかし、その旨味は常に酸味に囲まれている。少量では、旨味を感じられない。おちょこ一杯の量が、この酒の旨味を感じる最低量だ。口の中の酒を少しづづ、喉に流し込む。酸味が感じられるが、6割ほど飲み込んだ頃から、やっと旨味が登場。飲み終えた後は、酸味と僅かな「苦味」、「抉(えぐ)味」が残る。

いい酒だ!。繊細とかキメ細かいといった表現からは無縁の酒だ。一升いける。大酒飲みには、もってこいの酒だ。当然、酒徒にも最適。旨味を極力排除しながら、酒の本質、コメの旨味を強引に味わせる(考えさせる)。一見、飲み口の軽い酒だが、酸味の「太さ」が辛口的な陰影表現の強い印象を際立たせる。「大言壮語」せずにすべてを語る酒だ。

宮古市は三陸海岸きっての名勝、浄土ヶ浜を有する。白い岩肌と赤松の緑、大きな玉石の海岸はまさしく浄土を連想させる。この厳寒の十二月、氷点下の朝焼けの浜は、壮絶の一言。その風景は、凄凛な「フェニックス」と合致。

素晴らしい!!。このような酒を仕込む杜氏は凄い!。

岩手県 宮古市 鍬ヶ崎下町 5-24 ㈱菱屋酒造店

千兩 男山 特別純米酒 「フェニックス」1.168円

杜氏 辻村勝俊

瓶うらに「日本酒度と酸度はタンク毎に違います」と印刷あり。

ぐい呑み: 桃山美濃穴窯で焼成した「繪志野」の最高傑作。小ぶりの枡で吟醸酒をのむならベストのサイズとか。

2019年 3月25日 追加

純米酒 千兩 男山 1.134円。「フェニックス」の銘は付かない。やはり、酸味が強い。ただ、こちらは、コク、深みのある「旨味」が持ち味。鮮烈な「酸味」、濃厚な「旨味」。だが、後味は、「苦味」と「抉味」が味わえる。稀有(けう)な酒。ぬる燗もいい。味が柔らかく、優しくなる。

日本酒は、「旨味」の凝縮ではウイスキーに劣るが、杜氏・辻村さんはこの「米の旨味の凝縮」を醸造(蒸留でなく)で行う点が優れている。