オーディオ・ベースマン見たり聴いたり ミストラル の電源ケーブル その② アコリバのSENSUALと比べると…。

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり ミストラル の電源ケーブル その② アコリバのSENSUALと比べると…。

ミストラル(Mistral)の電源ケーブルClearift (CLE-1.2AC)。定価10万円ほど。東京・秋葉原のテレオンで、数年前に中古品を4万円ほどで購入。自宅でアキュフェーズ・A-75に接続して使用。オーディオ的性能に優れたアコリバの35万円の電源ケーブル・POWER SENSUALと比較してどのように聴こえるか?。結果から言えば、ミストラルは、値段なりの三分の一の性能。だが、音の出だしの『不自然さ』から、僕は、アコリバは、選ばない(注)。評価は、POWER SENSUALを③として。⑤段階評価で。

指揮者・ショルティとシカゴ交響楽団のドヴォルジャークの「新世界」。

帯域の広さ③、解像力③、SN比②、高域表現(伸びすぎず、詰まらず)③、中間表現(膨らまず、こもらず)④低域表現(締まり)②、コントラスト①、制動力(歪みがない感じ)②、透明感①、繊細性②、音の輪郭 柔らかく淡い、音の出足 素直、自然、音の鮮度 特(アコリバを`極‘として)、質感・密度②、デザイン②。特長、オーディオ的要素では、かなわない。ミストラルは、アキュフェーズの電源ケーブル・APL-1をツー・ステップアップ、深化させた印象。音の出だしに余計な「力」が入ってない。音が「フッ」と湧き出る。難点、オーケストラ再生は、かなり落ちる。10万円はやはり高額。適性、弦楽、独奏楽器など。寸評、弦楽四重奏、独奏楽器など、楽器が少なければ、対抗できる。アコリバは、音の出足が鮮烈すぎて、力が入りすぎ。「ハッキリ、スッキリ、クッキリ」し過ぎて、作為を感じる。繰り返しますが、オーディオ的性能には、格段の違いがあります。

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指揮者・サー・ゲオルグ・ショルティ。オーディオ機器の再生に極めて合う指揮者「綺麗で、音が揃っている」。この録音を聴くと、デッカのレコードプロデューサーのジョン・カルショーが、なぜ、ワーグナーの「ニーベルングの指環(4部作)」の歴史的録音に、芸術的な指揮をするクナッパーツブッシュらを差し置き、ショルティを選んだかわかる。僕が思うにレコード録音に、楽譜に忠実、即物的で写実的な音の精度を求めたからだろう。ショルティは、ウィーン・フィルハーモニア管弦楽団と多くの録音を残しているが、同楽団とは仲が非常に悪かった。その辺の経緯を中野 雄(なかの たけし)さんの「ウィーン・フィル 音と響きの秘密」(文集新書)の第13刷のP256の「ショルティとの戦い」を読めば両者の考えの違いがよくわかる。「~ウィーン・フィルの豊かな響きは、各楽器間の微妙なズレから生まれる~」とするウィーン・フィルに対しショルティは「とにかく揃えろ。揃わないことはミットモナイということだ」と譲らず、美感の決定的な相違で対立した。余程、ショルティは、ご立腹だったみたいで、『自伝』の中で「ウィーンでいちばん好きな道は、街中から空港に向かう道である」とまで書いてあるという。写真のショルティ盤、ミストラルの比較試聴時、たまたま、居合わせた方が、このCDを聴かせてくれました。その方は、「新世界」を色々な指揮者で聴いたそうです。その方にビビッと来た「新世界」は、ショルティとチェコのヴァーツラフ・ノイマン指揮のチェコフィルハーモニア管弦楽団の「新世界」だそうです。「ノイマンの演奏は、粗く聴こえるのですが、(ノイマンの指揮とチェコフィルの響きに自分は、郷愁を感じるみたいで)これまた、いいと思います。この二枚を聴いてます」。

オーケストラ演奏の写実基調(ショルティ)と芸術基調(ノイマン、おそらく)の二つを楽しめる。オーディオってなんていいんだろう!。

そうだ!。思い出した。ピアニストのマウリツィオ・ポリーニのCDを聴いたときも感動した。極めて画一的、精度の高い機械(メカニカル)的な演奏だったから。

(注)もちろん、購入するだけの度胸がない。