オーディオ・ベースマン見たり聴いたり アキュフェーズ試聴会 その①・・アキュフェーズの目指す「音」は「技術」。 

オーディオ・ベースマン見たり聴いたり アキュフェーズ試聴会  その①・・アキュフェーズの目指す「音」は「技術」。 

「音色」という言葉はほぼ使われなかった。「音イコール技術」です。6月7日(土)~8日(日)にベースマンにて行われたアキュフェーズ試聴会。試聴会の解説を担当した猪熊隆也・常務取締役。「解説のテーマは音と技術。ですが、(それを解説するのは)難しい」と前置きしつつ「(大体)技術者は、技術、数字に人生を賭けている(ような存在です)」と語る。そのような者が、「音」つまり「音質」といった個人の感覚、感性に由来する印象を伝える事は困難を伴うとその心情を正直に吐露する。そのため、解説が「ちょっと固めかな」と思われた。

ダフト・パンク(Daft Punk)の「ランダム・アクセス・メモリーズ」。

「アキュフェーズの今(も進めている)技術的取り組みは、雑音を下げる(つまり)SNを上げる。制動を掛ける。(すなわち)ダンピングを掛けて、(音の)リアリティーを上げる」事と切りだし、この二点を突き詰めていると猪熊常務は語る。そして、その成果を「音」として説明するためダフト・パンクのレコードを取り出し再生した。再生した曲はトラック3、ジョルジオ・バイ・モロダー feat.ジョルジオ・モロダー。「テクノ音楽は、ゴムのように伸び縮みする。感情が入らない無機質なビート。(だが)音の立ち上がりの早い音(なので躍動感がある)。(その一方で)べったりとした粘着感(も感じる)」とその音楽の印象を述べ、「低音の出方。(その)伸び。(音に)ピントがきていて(ぴったり合い)、ポンポンとした(躍動感)」がテクノ音楽再生に必要と解説する。それらのテクノ音楽の魅力を再生することを可能とするには、雑音を減らす(SNの向上)ことに加え「(もう)一つの課題として低音」を挙げ、低音に適切な制動(ダンピング)を掛けてパルシブ(注)な低音が再生ができているどうかを重視するという。つまり、ウーハーを「グッと」掴む制動力、「パッと」離す起動力の技術が必要と説く。SN向上とダンピングの向上の二つの技術。これを極める事が「アキュフェーズの音だ」と言い切る。同社は、「音質」とか「音色」といった感性に由来する印象は技術を極めた結果として現れるとする。それは、アキュフェーズの創業理念を著(あらわ)した故・春日二郎氏の意志である「正しい音を探す」を引き継いでいるだけの事と猪熊常務。その志(こころざし)はアキュフェーズ社員として当然の事なのかもしれない。

(注)パルシブの意味。以前のブログ、「アキュフェーズ試聴会・・大貫常務が試聴会で再生したCD」でヤフー知恵袋から引用させてもらった「パルシブとは、入力パルスに対して忠実に波形(ピーク)がはっきり、くっきりした感じで、素早い反応で(パワー・スピードのある)リアルな感じの音」がその意味として分かりやすいと思います。