オーディオ・ベースマン見たり聴いたり アキュフェーズ試聴会 その②・・ビッグウェーブがやって来た。
- 2025.06.15
- オーディオ

「アキュフェーズの音作り?」。少々、表情を曇らせる猪熊隆也・常務取締役。続けて言う。「計画して音を調整しない。設計が(結果的に)音質の調整までする」と。あくまで技術を詰めて`できた音´そのものが同社の音。誰かが中心となって音(質)を決めている訳ではないとも言う。また「アキュフェーズの音が変わった」と評価されてもアキュフェーズにはその意識は無い。「新しい技術が出来た時、バンと音がやってきた(猪熊常務)」。その`バン´とやってきた音、その技術の典型として例に引くのは、2002年発売のプリアンプ・C-2800に搭載された同社が独自に開発した新方式のボリューム・コントロールAAVA(Accuphase Analog Vari-gain Amplifier)。
1973年の創業当時から「ボリュームはやばい」。ボリューム回路が、音質に影響を与えるという事は分かっていたと猪熊常務。抵抗体を使ったボリュームは、十年ほど使用するとガリがでるなど必ず雑音が生じた。ボリュームの位置が9時から1時の間は雑音が目立たないが「小さい音だと雑音が音をマスクしてしまう(猪熊常務)」という問題の解決に苦慮していた。そうした中、電子ボリュームのAAVAの開発に成功。音のビッグウェーブ。AAVAは、「ボリュームの位置で音質が変わらない。小さい音でも(音が)痩せない」という利点があった。しかも、接点がないため経年変化もない。「SNが上がり、もっと細かい音がでて(聴こえて、演奏の)音場感が出た」と猪熊常務は当時を振り返る。営業の鬼頭伸明さんは「ボリュームを絞っても(音の)鮮度が落ちない。(音を小さくしても)音場感が変わらない。(それに加え、抵抗体を使ったボリュームに比べ)演奏者の小さな音のクオリティを上げたのがいい」。現役のトランぺッターらしく「(海外留学した際、教師から)フォルテ(強く)の音質で小さい音を出せと教えられたが、AAVAでその音が出た」とその性能の印象を付け加える。2800に組み込んだ当時、欠点があり内部の16個のアンプでオン・オフの接続する時の切り替え音が発生したというのだが…。2800は今ベースマンにあるが、聴いてもそのような音は聴こえなかった、僕には…。
次のビッグウェーブは、C-3800。バランスAAVA搭載。2回路平衡駆動の電子ボリューム。「音が変わった」と猪熊常務。「パワーアンプをドライブする力が上がった。(AAVAが1回路不平衡の時の)繊細な音に加え躍動感が出てきた。(アキュフェーズの音に私にはこれまで以上に感じる)躍動感が出てきた」。「音が変わった」と再び畳みかける猪熊常務。
猪熊常務にとって、これ以上は無いといった感じのビックウエーブ。新しい技術がもたらした感動。残念なことにオーディオ開発技術者にしか分からないものかもしれない…。
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