酒徒礼賛 日本酒 岩手県宮古市 五年熟成 大吟醸「結の香」と「菱屋」・・淡麗ならざる酒は、料理の味を邪魔しない。

酒徒礼賛 日本酒 岩手県宮古市 五年熟成 大吟醸「結の香」と「菱屋」・・淡麗ならざる酒は、料理の味を邪魔しない。

岩手県宮古市の㈱菱屋酒造店の五年熟成の大吟醸「結の香」と「菱屋」。杜氏・辻村 勝俊(つじむら かつとし)作。今まで飲んだ日本酒の中で唯一、食事中、食間に飲んでも味が薄く、甘くならない日本酒。味の「濃さ」が素晴らしい!。

右手から差し込む朝陽を浴びる浄土ヶ浜。浄土ヶ浜パークホテル521号室から。

二種とも醸造アルコールを使用しない。コメの醸造、熟成だけで勝負。潔(いさぎよ)い。この場合、潔いという表現は、「思い切りがよい」という意味で使いたい。吟醸酒というと、醸造アルコールを添加して「ふわりとした淡麗な味」にまとめ上げる事が多い。その「淡麗」さには未練を持たず、「淡麗」という押しつけがましい概念を打ち破る味。ネットで調べると「淡麗(たんれい)」という単語が日本酒に使われた時、『日本酒の口当たりが、さっぱりとしていて癖がないこと。糖度と酸味の低いものにいう』だという。そしてその反対語は、「濃醇(のうじゅん)」。『日本酒の味わいや口当たりが、深くしっかりとしてこくがあること。糖度と酸味の高いもの』だという。五年熟成の大吟醸「結の香」と「菱屋」の味はまさに「濃醇」。味は濃くとも、飲み込んでも口に残るマッタリ感なく、スッキリとしている。次の料理の味を邪魔しない。感じられる味は、米の旨味7割、酸味2割、苦味1割。飲み込んだ後に抉(えぐ)味。どっしりとした立体的な旨味を薄く繊細な酸味が包み込む。舌の上で旨味、口中の周りで酸味、喉で苦み。

比較して飲むと味の違いがあるだろうが、別個に飲んだため「結の香(3300円ほど)」と「菱屋(3500円ほど)」の味の違いは判らなかった。五年熟成で醸造アルコール無添加は共通。違いは、使用された米。「結の香」が岩手県産の`結の香‘。「菱屋」が兵庫県産山田錦。

521号室の風呂から望む浄土ヶ浜。湯気で風景は曇る。
寒中の2月快適な室内屋外の氷点下を思いつつ燗を楽しみたい。