酒徒礼讃 日本酒 福井県吉田郡永平寺町・游(YOU)・名前は、優しいけど、ちっとも優しくない酒。

酒徒礼讃 日本酒 福井県吉田郡永平寺町・游(YOU)・名前は、優しいけど、ちっとも優しくない酒。

‘游’。酸味の効いた、キレのある酒。ふくよかさとか、柔らかさとは無縁。「グッ」と勢いよく呷(あお)るのは、やめた方がイイ。酸味で咳き込み、鼻腔に酒が入ったら大変だ。「甘味」の一切無い、冷徹な日本酒だ。

岩手県遠野市綾織の山裾にある千葉家住宅。そこから国道396号線を市内へ。車の窓ごしに田園風景が望める。

(四合瓶の封を切り、盃に流し込むと)饐(す)えた米の香り→(口に含むと)酸味→(米の)旨味→苦味→(飲み込んだ後の)抉(えぐ)味。この順序が日本酒の味覚の基本形かな?。だが、‘游’、一口目が、酸っぱすぎて「辛い」。口、喉が強い酸味で刺激され咳き込みそう。『醤油の味がする』とまで飲んだ時のメモにある。酔って書いているから勘違いだろうけど。 刺激の強い酸味になれるまで、 猪口(ちょこ)でチビチビと啜(すす)り、一合あたりから、「辛さ」に慣れ、咳き込まない。酸味の刺激に慣れたら、口の中でモグモグと咀嚼(そしゃく)、噛む。すると米の「旨味」が出てくる。盃が進むと、結構な「旨味」が濃く出てくる。飲みこむと「抉味」が残る。芳醇とかふくよかといった味とは無縁。「辛口の本道」を突き進むストイック(非情)な印象。値段も税込み1100円ほどと贅(ぜい)肉をそぎ落としている。名前は、‘游’。その漢字を辞書を引くと、①泳ぐ、②浮かぶ、③遊ぶなどとあるが、そのような優しい印象とは程遠い。

吉田酒造有限会社 福井県吉田郡永平寺町北島7-22 游 YOU 芳醇超辛口 番外山田錦 1100円ほど。

澄み切った晩秋の空。コントラストの鮮やかな風景を楽しみながら、盃を進めたい。