オーディオ・ベースマン見たり聴いたり ペルソナB その⑤・・「金属の音を聴く」という事。
- 2025.02.24
- オーディオ

パラダイム(Paradigm)のペルソナ(Persona)B。ツィーターとウーハーの二つのユニットにベリリウムという金属を使ったスピーカー(SP)。僕には金属の無機質な音が付帯して響くように聴こえた。2024年11月、初めてパイプオルガンの音を聴いた。その音は、紛れもなく「金属の音」だった。
僕は、「音に金属的な響きが聴こえると良くない」という偏見があるようだ。金管楽器、弦楽器、打楽器など人が演奏する楽器の音には、明快、明瞭、正確ながら、人肌のほのかな温かさを感じる、体に染み込む馥郁(ふくいく)たる(注1)柔らかさに酔いしれるなど人の感情の機微に触れる物がある。金属楽器の代表格のオーケストラのシンバルの音にさえ、色艶、湧き上がる歓喜の感情など感じている。無機質な金属ながらちゃんと感情表現がなされる。しかし、パイプオルガンの音を初めて聴いた時「金属の音しか聴こえない。単調な音で虚飾が無い。木質のような含みのある音は一切聴こえない。圧搾された空気が金属の筒の隙間から押し出される音」。それが、盛岡市民文化ホール・小ホールのパイプオルガンの音だった。音としては「退屈な音」。巨大な仰ぎ見る荘厳な楽器だが「いたって静粛、耳を圧する大音量など立てない。生真面目。金属の音以外を排除した人知、感情の入る余地のない音」だった。神への邪心のない祈りを捧げる楽器なので人の脚色を完璧に否定した音になるのだろう。パイプオルガンの音を聴いた時の記憶、印象を弄(まさぐ)りながら(注2)、音の好みを判断材料から外して考えるとペルソナの金属が付帯する音も「音の表現の一つ」と考えた方がいいのではないかと思える。そして、ペルソナの音は、パイプオルガンほど無味無臭、退屈な音では決してない。
パイプオルガン。オーディオ的は観点から良い点は「音の定位」はハッキリわかる事。写真のパイプの太さで判断すると、左から最低音、中音、中低音、高音、中央に低音となっていると思われ、それが左右対象に配置されている。演奏を聴いていて音が出てくる位置はハッキリ分かる。
オーディオ・ベースマン店主は「パイプオルガンの音は聴いた事がありません」との事。
(注1)心地よい香りが漂う様という意味です。(注2) 心の中をあれこれとたどってみるという意味で。
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